SSランク勇者パーティにボコボコにされた私ですが、スキル効果が3の累乗で上昇する特異体質であらゆる困難を乗り越えて見せます!ついでに成り上がります!~勇者にぎゃふんといわせてやる~

きつねのなにか

鬱展開から、再出発するまで

第1話 地獄の始まり

  ぼきの名前は博士。35歳、でぶ。ひげ面。眼鏡。禿。経験なし。

 しかぁし!マイプリンセスと今日一体化して結ばれるのだ。

赤くて素敵な髪の毛と大変に綺麗な青い眼、丸顔で恐ろしいほどかわいい顔。148センチという小さい身長。そんなかっっっっっっっっっっっっっっっっっわいいおなご。それがマイプリンセス。さいこーにかわいい!


 名前は山野牡丹やまのぼたんちゃん。名前もさいこーにかわいいね!


 実験檻の中に入って、一体化開始ぃ! ――失敗ぃぃ! 私の両手についていた補助脳だけ一体化してどこかの世界に飛んでったぁ! 並行世界の果てまでも追いかけて、合体するからね。まっててね、僕のマイプリンセス! 




並行世界の果てまでも追いかけて、合体するからね。まっててね、僕のマイプリンセス!

並行世界の果てまでも追いかけて、合体するからね。まっててね、僕のマイプリンセス!

並行世界の果てまでも追いかけて、合体するからね。まっててね、僕のマイプリンセス! マイプリンセスマイプリンセスマイプリンセスマイプリンセスマイプリンセス


「うわぁぁぁぁ!?」


……夢かー。たまに見るんだよね、この夢を。ゆめというか囁きというか。見られている感じがしなくもない……。


んー、そろそろ2年くらいかなぁ、異世界転移こっちに飛ばされて。最初はつらかったけど、徐々にいろんなことを覚えてきて、スキルもそれなりにあって。今はなんとか生活していけてるなあ。

まだ夜明けには早い。もう一度寝よう。今日もまた労働が待っている……。ぐうぐう。


あくる日、冒険者ギルドで仕事を待つ私。

「ぼたん、牡丹、山野牡丹やまのぼたん君」

冒険者ギルドの日雇い係員が私を呼ぶ。

「はーい」


「えーっと、今日は雑魚モンスター掃討にご指名が来ているので、そこに向かってくれ。物理無効のスライムだ」


「ウィッス。銃は使えないかぁ」


「使ってるのはお前さんくらいだよ」

「赤い髪と目の小さいおくびょう人、牡丹ちゃーん。日雇い娼婦の方が儲かるんじゃないか」

「ええーいうるさいうるさい、外野は黙ってろっ」


この世界は壁や城、要塞が現役なんだよなあ。防御力が高ければ高いほど魔法による防御力上昇効果がでる【魔導防御】という魔法及び魔法陣があって、防御力趨勢の世界。

だからか文明はそれなりなのに銃があまり発達してない。剣と魔法の世界。ファンタジー!


銃を使う人は雑魚モンスター掃討の象徴だったりするんだ。私みたいにな!



さて、時間つぶしてるわけにもいかないし、そろそろ出発するかなあ……なんて時に冒険者ギルドの扉がバターン! と開かれた。乱暴だなあ。


「SSランクパーティの『光の宝玉』だ。荷物持ちを雇いたいのだが、いいやつはいるか?」


光の宝玉って、勇者様パーティじゃないっけ!? はー、勇者様ユウイチ、戦士ムサキ、聖女ヒナタ、斥候のモンタ。四人だけのパーティ、でも最強のパーティ。戦争に参加すれば趨勢を一気に変えることができる存在。


ひゃー凄いなーなどと感心してみておりますと。


「……なあモンタ、あの女はどうだ。赤毛、青い眼、丸顔。たまんねーのが、あの小さい身長。」

「わるくないな。どの部分もきれいだ。なあユウイチ。あの女がおもしろ――、頼りになりそうだ。素晴らしい連携も見せられる」

2人がこそこそとこっちを見ながらしゃべってますね?


「はぁ……またか。おい係員、あの赤い髪の毛をした娘にしろ。おいそこの娘、名前は何だ」


「え、私ですか?荷物はこの小さい体じゃあ」


「口答えするな!名は何だと聞いている!」


「はいぃ! 山野牡丹と申します!」

ここここここっわ!

勇者様なんか機嫌が悪いようだ。


「ファミリーネームもちだとぉ!? お前転生者か?」

ふぁー、なんか観察眼鋭い。ここは穏便に……。

「転生? 私が? 転生は勇者ユウイチ様だけなのでは……」


「ではファミリーネームは没収だな! 貴族でもないのに。おい、ギルド員、書き換えろ」

「わ、わかりました……」

「ちょちょちょちょ! いったい何するんですか! 私の大切な名――」


「――まあいいからいいから。とりあえず荷物運び頼むわぁ。俺はムサキこっちはモンタ、よろしくな。ぐひゃひゃ!」

「え、あ、は、はい」


なんか本当に理解が追い付かないまま荷物持ちにされ、ついていくことになりました。




「では出発する。川沿いに沿って歩くと秘宝がある古代の寺院にたどり着くそうだ。それを奪うぞ」


う、奪うって。乱暴なしゃべりだなあ。



ゆ、勇者様パーティ歩くのが異様に速い。私は追いつくのがやっと。遅れたら罵声が飛んでくるので必死に食らいついてます。はぁはぁ。これは大変だ。幸い亜空間倉庫の能力付与が付いたバックパックをお借りしているので、皆様の荷物はバックパックに入っているから重さを感じないのですけど。


川沿いを歩くこと5時間ほど。もう夕刻です。


「おい、あれが寺院か」

「そうでしょうね、ユウイチ様。おら、ボタン。野営の準備だ

やった、寺院を発見した。野営すれば休めるかな……。



休めませんでした。火起こしから料理、寝床の支度まで全部私がやりました。へっとへとやあ……


「あーら、くそアマにしては悪くない味じゃない」

「料理担当として雇いますかあ、くそビッチのコムカイヒナタ殿」

「ああんなんか文句あるの? ムラサキゲンタ君」


え、日本人的な名前……。


『おい山野牡丹、お前は#%FでPPAPせがつのか?』

『あ、はい勇者様。料理は自分で持ってこいって……え?」


ん?


「おーい! やはり転生者だ! 殺すぞ!」


ちょあ!? 殺す!?


「いやいやいや転生なんてしておりません!」


「日本語が喋れるこの星の住民が居るか! さあ死ねえ! 転生チートは俺たちだけで十分だ!」


するりと抜かれた聖剣アーロンダイル。凄い殺気。


「まあまあ落ち着け祐一!まずは味合わせてくれよー。な、俺と源太で、さ」


「汚い顔して……あたしと、祐一様が寺院に向かうから、その間に遊んでね、ちょりーん。6時間くらいは遊んでいてねえ」


 といってすたすたと寺院のほうに歩いていく二人。


「あいあい、じゃあそうするか、作弥、遊びに取り掛かるぞ」


「わかった。さあ牡丹ちゃん、遊ぼうか」


「え、え、え……」


「6時間のパーリィだぁ!」


「嫌!勇者様ぁ! パーティのかたが!」


「ばーか、いつもの事なんだよ。あっちもどうせヤってるだろうしさあ」


 いやぁ!


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