10月15日

 波のない仕事がしたい。

 忙しい時はえらいことになっている我が職場。なのになにもないときは平穏、というか暇すぎる。

 いまはもうなにも考えられないくらいに忙しい。

 いや、考えている。しかしほとんど娯楽に身を投じるなんてことができないのだ。

「なんかこう、平均的にこのくらいって感じにならんもんですかね」

 わたしは向かいの席の同僚にいった。

「それってクソつまんなくね?」

 なんにも変わんないなんて、飽きちゃうよ。

 はあはあ、そうですかそうですか。

 わたしは腕を伸ばした。

「いつになったら終わるんですかねえ」

「わからん」

「なんかわたし気づいたんですけど」

「なんだよ」

「最近スパゲティ食べてないんですよ」

「ほう」

「なんかガーリックががーっときいてるやつ食べたい」

「食えよ」

「だから食う時間もないんですよ」

「終わったら好きなだけ食える」

 終わったら。

 いつまでも途中で、いつ終わるんだろ、と思った。

 ああ、やばい、仕事のペースが遅れてしまっている。


✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

「今日はなにー?」

「今日は世界手洗いの日〜」


帰った後、手洗いうがいは大事だよ、っていうのを身にしみた数年間ですね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る