10月4日

 いつまでもわたしのおばあちゃまは若い。まるで魔女だ。

「秘訣は若い見栄えのいい男を従えることよ」

 恐ろしいことをしれっと言ってのける。

 たしかに、この人の周りにいる男の子たちは全員見栄えがいい。わりとジャンルはかたよっていない。線が薄い男、厚い男、色白、色黒、さまざま。

 近所のいい男が働いている店を彼女は熟知しているし、わたしをよく連れて行く。

 時折親切にしてくれる、という近所の大学生なんかとお茶していたりして、本当にこの人は魔女なんじゃないかと思う。

「あなた、顔ばかり見惚れてちゃダメよ」

 いい男を従えているばあさんがよくもまあ、と思いながら、わたしは話を聞く。

「みんな、心根が優しいんだから」

 心根、ねえ。

「すべては顔に現れるのよ」

 やっぱりこのおばあさんだって、面食いだ。

「今日は××くんのシフト日だから、コンビニいかなくちゃ」

 おばあちゃまは立ち上がった。


✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

「今日はなにー?」

「今日は古書の日〜」


古本屋さんが好きです。旅先で見つけるとかならず寄ってしまいます。思わぬ掘り出し物があったり。倉敷の蟲文庫はおすすめです。

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