8月25日
「ポルノ小説を書いてみようかと思うんだよね」
唐突に言われ、ぎょっとした。
「それは、つまり、セクシーなやつ?」
慎重に尋ねると、目の前の相手はわたしを馬鹿にするような目つきになった。
「まあ、そうだね」
昼間の喫茶店でそんなこと言われて、動揺したらバカにされるだなんて、理不尽極まりない。
「なんでまた。あなた本出してるし、しかもなんかほっこりする、とか言われてるじゃない」
そう、いまポルノを書くことを告げた友人は作家である。売れてはいないけど、れっきとした。
「なんだか新しいものを描きたい気分なんだよね」
「だったらホラーでもミステリーでもいいような」
「なんかそういうジャンルでくくるものはねえ」
ポルノって自分で言ったろうが!
「そうなんだ、がんばってね」
特に構想中のあらすじなんて聞かされたらたまったものではないので、話を切り上げた。
帰り、「できたら送るね」と言われたけれど、即座に断った。
きょとんとされた。
たとえば、自分はまともにポルノなんてじっくりと読んだことはない。なにかのきっかけで読んだとして、書いた人間は知り合いだとわかったら、なんだかやだなあ、と思った。
ああ、そうか、小説って、作者の顔がですぎたものってあんまり興味が湧かないな、一般論でもなんでもなく、と思ったりもした。
友人のポルノ……それよりも、締め切りがーって言ってたんだけど大丈夫か? ポルノの前に締切のある仕事、しろよ。
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
「今日はなにー?」
「今日は即席ラーメン記念日〜」
サッポロ一番にはじまり、さまざまなものを試し、最終的にサッポロ一番に戻る。そんな道がある(なんのこっちゃ)。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます