4月17日

 あの人のことを好きなのだけれど、どうにもなりそうもない。そりゃそうだ。わたしはアピールしていないし、そもそもあの人は眼中にないのだ。

 悲しいもんだなあ、と思いながら一年が過ぎようとしていた。悲しいと思っていながらも、誰かをただ好きな状態というのは楽だった。身体は変化を好まない。なので、そのままいること、それが一番の快楽なのだ。

 結末はあっけなかった。

 好きだった人が結婚してしまったので。べつに結婚式にも行かなかった(そもそも呼ばれていない)。

 このままだと、誰も好きな人がいない状態が、一番楽となってだらだら過ごしてしまうなあ、と恐れた。

 別に悪いわけでもないけど、ちょっと悲しすぎやしないか、と思った。

 なので、街に出た。


✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

「今日はなにー?」

「今日は恐竜の日〜」


好きな恐竜はティラノザウルスです。

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