アルタイルで待つ君へ

相生薫

刃への愛


真夜中にひとり、刃を研ぐ

刃は色々あるけれど

一番古い奴がお気に入り


砥石で一心に研ぐ

あらゆる物が切れるように…


研いだ刃で軽く腕をなぞる。

軽く撫ぜただけなのに

スーッと血が流れてくる


上手な看護師の注射よりも痛くない。

なのに、血がどくどくと流れてくる


それが気持ちいい。

痛いけど気持ちいい

もう少し力を加えれば永遠に楽になり、気持ちが良くなる


なのになんで私はそれをしないのだろう

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