一方その頃、
マ、マジかよ……。アイツ、マジでおいて行きやがった……――。
え……、マジで攫うしかねぇのかよ。
いや、まぁ、
手っ取り早いのは売るっつーとこだが……、フォーサイス家のエレノア嬢ってッたらここいらじゃ有名だしなぁ、下手な流し方すっとこっちの足がつきかねェ……。
名前が知られてねぇ場所まで連れてくッてのもあるが……こんなウルセェだけのクソガキ……、いつまで連れてりゃあいいって話だよ。
――前金だってもう、半分とはいえ貰ってッしよォ……それこそ金なら
……いや、待てよ、そもそもあの
どうせあれだ、扱いに耐えかねて逃げ出した。そんでついでの腹いせにガキも攫ったってとこか。
じゃあよ、まだ金が引っ張れるってこッた、大した手もかからずに。ならよ、落ちてる金だ、邪魔もいねー、じゃあ拾ってやらねぇとな。ウルセェのは……まぁしゃーねぇー。
シモンだって待ってる。アイツ、全部一人で相手しやがッてよぉ、流石に無事とはいかねーだろ。ヨシ、ならガキども攫ってさっさとここから離れねーとな。
右膝に手をつきグッと力を入れ足を伸ばしその場から立ち上がった。瞬間、腰に下げた袋からチャリと硬貨の擦れる音がした。思わず、口角の端がクイっと吊り上がってしまう。
にしてもいい稼ぎだったぜ、しかもだ。全部俺らンだ。あの
後ろへ振り返り、
前金と合わせるといったいいくらになるッてンだよ。
腰に下げた袋に手が伸びた。袋に入っている分の貨幣の重さを確認しつつ、これから増えるであろう金額を思うと、自然と再び笑みがこぼれた。
前金だけで相当寄越してくれたもンだぜ。てことは残りも相当あンだろうが……ま、あのイカれとの手切れ金って考えるしかねェな――。
……待てよ、そもそもこんな大金、ヤツはどうやって手に入れたんだ……――。
フツーに考えりゃガキ攫うのと一緒にくすねてきたってとこなンだろうが……。出来ンのかそんなこと……そんな時間、あンのか――?
……それじゃあやっぱ、マジで頼まれてンのか――? ガキ連れて逃げろって……。
マジぃ……、そうなると今ガキを攫ってわざわざ敵対すんのはマジでマジぃ……――。
は? てことはなンだ、え? オレぁどうすりゃいいンだ? あ? 待つしかねぇのか? あのイカれ野郎が戻ってくんのを?
いや……いやいや、それこそありえねーだろ。こっちはさっさとシモンと合流しねぇといけねェンだよ。追っ手だってそのうち来ちまう、こんなとこでタラタラしてるヒマぁねェンだよ、クソイカれが……。いなくなってまでも邪魔してくんじゃあねーッてンだよクソがよォ……――。
ン――? いや、そもそもヤツは今、いねェ……。追っ手ン中突ッ込ンでッた――。そう! いねェ! もういねェンだ、あのイカれヤロウはもう。
あんな状態で敵だらけン中突ッ込んでッたンだ。死んだだろ、間違いなくな。じゃあよ、もう全部解決ってことじゃねーか! カンケーねぇってこッた、何しようがな、なら――。
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