どちらの世界で生きて行くべきか悩むにゃ

 駄メルによって俺自身が今後をどう生きるかを選択する必要が出てきた。日本は日本で楽しいこともあるしテレビや漫画や小説を自由に読めて美味しい物も食べられる。だからと言ってこちらの世界で何がしたいかと言われれば返答に困る。技術はそれぞれが最先端で自分が新しいものを開発等をする余地は全く無い世界だ、魔法を利用した魔道具なら作れるがそれらを売りに出したところで胡散臭い商品にしか見えないし、解析してもわからない物を受け入れてくれる文化はなさそうだ。でも向こうでは未だにトイレはポッチャン便所も多いし食生活を含めて色々な改善をする余地が沢山ある。こっちの知識をうまく利用すれば沢山の人が幸せにできる可能性を秘めている……


 まだ、完全に決めた訳ではないがなんとなく今後の人生のプランが見えてきたように思える。日本で進めている計画は猫の姿でも協力者がいればなんとかなりそうだしな……


 駄メルの様子だと人間の身体は、まだまだ作ってくれそうになさそうなので、ゆっくりと考えて決めようと思っているが一度来夢やまりの達とも話をしておいたほうが良さそうだな。


『なぁ来夢今日の夕方は暇かにゃ?』


「暇と言えば暇よ?」


『じゃまりのとなな子も呼んでおいてくれにゃ』


「良いわよ、何時にする?」


『19時で良いにゃ』


「はーい、じゃ2人にも声をかけておくね」


 お昼は空港に行き、乗ったことのない地方への飛行機に乗って新しい転移ポイントを探したり、善猫神社に行き友人の猫たちとまったりして家に戻り3人の前に座った。


『3人に伝えて置くことがあるにゃ、まずは向こうの世界へ行く扉が出来たにゃ。残念にゃがら今のところは自分だけしか通れないにゃ。それで女神から将来はどちらの世界で生きたいかを選択するように言われたにゃ……』


「将来はどちらかでしか生きられないってこと?」


『ちょっと違うにゃ、人間の姿で生きられるのはどちらか片方の世界だけにゃ』


「じゃ違う世界ではどんな姿で?」


『扉を通るときに今の姿に変えさせられるにゃ』


「じゃこちらを選べばこちらは人間で向こうが猫になって、向こうを選べば向こうは猫でこちらが人間の姿になるのですね?」


『なな子の言うとおりにゃ』


「トラちゃんはどっちを選ぶの?」


 来夢の圧が強い……


『まだ決めていないにゃ、でも向こうの世界を選ぶと思うにゃ……』


「そうなんだ……」


『そんな顔するにゃ、向こうを選んでも今みたいにこの格好でこっちには来れるにゃ』


「トラちゃんの人間の姿も見てみたかったな」


『そのへんは向こうで写真なりビデオ撮ってくればいいにゃ』


「トラちゃんはトラちゃんのままなの?」


『多分そうなるにゃ』


「将来トラちゃんが来夢お姉ちゃんに振られたら、私がトラちゃんのお嫁さんになるつもりだったのに……」


『にゃ? にゃに?』


「まりのがいつも話をしてたんですよ、トラちゃんが人間に戻ってお友達とか恋人が出来なくても私がトラちゃんの味方でいるって」


『まりのありがとなのにゃ! でも少なくともお友達はいるにゃ…… 来夢とはそんな関係じゃないにゃ……』


「そうそう、私とトラちゃんはトラちゃんが猫の時しか知らないし……」


『来夢には新田がいるにゃ!』


 来夢の動きが固まって、顔が真っ赤に変わっていく


「な、な、なにを言ってるのかな?」


『来夢が新田に好意を寄せてるのはみんな知ってるにゃ』


「えっ?」


 なな子とまりのがウンウンとうなずく


『新田もまんざらでもなさそうなので応援するにゃ、まりのには幸せになって欲しいにゃ』


「あ、ありがとうトラちゃん」


『もちろん、なな子もまりのにも幸せになってもらいたいにゃ』


「ありがとうございます」

「ありがとうなの」


『まずは一度向こうに行ってから向こうで生活出来るかを決めてくるにゃ、形的には死んだ事になってるにゃ』


「じゃ近いうちに行くの? 帰って来れるの?」


『それは大丈夫だと思うにゃ、ダメなときはその時にゃ、万が一の為の準備があるのでしばらくは来夢に手伝ってもらうにゃ』


「万が一とか言わないで、必ず帰ってきてね?」


『大丈夫にゃ!』


 明日から3日程かけて行く準備をしようと思っている。本当に戻れなくても大丈夫のように、向こうで読める小説や漫画等を大人買いしてこようと思うし、工具や電化製品等も買っておこうと思う。来夢も無事に免許を取ったので、家にあった車は下取りに出してワゴン車を購入しているので、大きな荷物でも十分運べるので今日の夜は何を持っていくかのリストを作ろうと思う。

 さあ楽しくなってきたぞ!

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