奇跡の再確認だにゃ

 

 少し騒がしい様子を見て看護師が顔を出すと、さっきまで死にそうな顔で寝ていた梢がベッドから起き上がり普通に会話をしている姿を見てびっくりして口をアワアワしていた。しばらくして復活した看護師さんが浜名を連れてきた。


「えっ? 本当に元気になったの? ヤバい薬じゃないよね? うーん、ヤバい薬すらもう効かない状態だったからな……とりあえずちょっと診せてもらっていいかな?」


 浜名が色々触診をしたりしていると、今度は顔が尋常じゃない程真面目な顔になり、看護師にすぐに、CTとエコーの準備をさせて、すぐにベッドごと検査室に連れていかれた。


「ねぇ、あの浜名先生の顔ってどうなの?」


 さちに聞かれたなな子は


「あの顔はお昼にも見たけど、ありえない事が起こった時の顔だね」


 しばらくして、やつれた顔の浜名と左手に牛乳パックを持ち右手に餡パンらしきものを食べながら元気よく歩いている梢がやってきた。浜名は疲れたように


「結論を言います。完全に完治しています。絶対にありえない…… これって、エリクサー……」


 それを聞いた4人は飛ぶように喜んだ。梢が浜名に


「エリクサーってゲームのしすぎですよ!」


 そう言うと、浜名は真面目な顔をして返事をした。


「いや、そうとしか考えられない…… 梢ちゃんは早ければ今日中、遅くとも3日以内には天に召されるはずだったんだよ?」


「マジ?」


 梢が周りを見渡すと、まりの以外がウンウンと頷いている。


「私、完全に治ってるの?」


「CTとか見る限り…… 下西さんと同じで、一応要観察だけど、状況は完治…… 末期がんが数時間で完治とかエリクサー以外考えられないだろ? ねぇまたこれ持ってこれる?」


 まりのは少し考えてから


「治したい人がいるなら……でももうあまり採れないかもしれないの」


 まりのの母は心配で確認をする。


「騒ぎになっても困りますので、出処を秘密にしてください。それとこの水もいつまで出るかはわかりませんし、必ず出ると思わないでください。もしかすると明日にはただの水になっているかもしれませんので……」


「これがどれだけすごい事かは重々わかっております。実はわたしの妻も現在この病院に入院してまして、心臓が悪くいつ発作が起きてもおかしくない状況なんです。もしも可能であれば彼女の分もお願いしたいと思います。他にも助けたい患者さんは沢山いるのですが、全員を助けられないのは理解していますが、彼女だけはなんとしても助けたいんです」


「先生のおよめさん?」


「そうなんだ……」


「じゃあ、明日採ってくるの」


「ありがとう」


「くれぐれも口止めと効果なかった場合は諦めてくださいね」


「それは約束するからよろしくお願いします。医者の僕がこんなのにすがるのも変なんだけど、二人の状況を見る限り効果が無いとは思えないんだよな」


「先生、およめさん治ったらちゃんと神社にお参りにいくの」


「もちろんだよ、その時には妻と一緒にお参りにいくよ」


 ******************


 その日の夜、俺は来夢に相談をしていた。


『来夢、ちょっとお願いがあるにゃ、あの猫神社に猫の楽園みたいなのを作りたいにゃ。それに協力して欲しいにゃ』


「もちろん、いいわよ。何をすれば良い?」


『あそこの神主さんに猫の楽園を作りたいと話をするにゃ。もちろんお金がかかるのもどうにかするから大丈夫だと伝えるにゃ』


「じゃ明日にでも話をしに行ってくるね。少しお金も包んどく?」


『そうだにゃ、10万円くらい包んでおくと本気だとわかるかにゃ』


「じゃ10万円と猫ちゃん達のグッズを買っていくよ」


『そうだにゃそれでいいにゃ、今後はお金はたぶん集まってくると思うにゃ』


「そっか、じゃ明日はペットショップ寄ってから夕方にでも持っていっておくね」


『よろしくなのにゃ』










  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る