第七話:峠のテケテケ
自分が車を停めてるパーキングのすぐ側に、外灯があるって言ったじゃないですか?
外灯の頼りない明かりが、ぼんやり車と自分の周りを照らしていたんですけど、暫くして、その光の届いてる範囲に、音の正体が姿を見せたんです。
そいつね……男なんですよ。
顔が擦り剝けて血が滲んでて、着てる黒っぽい服も擦り切れてボロボロで。
一瞬、バイク乗りが単独事故でも起こして、それで自分を見つけて助け求めに来たのかなって思って、駆け寄りそうになったんですけど。
すぐに、踏みとどまりました。
だってそいつ、下半身がなかったんですよ?
赤黒いロープみたいな内臓が飛び出た上半身引きずりながら、すごい濁ったような目でこっち見上げて、一直線に近づいてきてるもんですから、慌てて車の中逃げようとしたんですけど、手がもたついて鍵落としちゃって。
もう頭はパニックですから、そのまま車の屋根に上っちゃったんですよね。
そしたらそいつ、何て言うのかな……赤ん坊が壁に掴まって立とうとするみたいに、車を利用して身体を起こして、必死に僕の方へ手を伸ばしてくるからもう身動きも取れなくて。
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