第1098話  仮の器

「ダンジョンマスター達は、もふりんとかカジマギーとか、ユリアーネちゃんとかのボディを造ってるじゃないですか。だから、私達のボディも作ってもらえないかなぁ~…なんて。てへっ」

 頭をコツンと叩いて、可愛らしくあざとく舌を出して笑うサラ。

「なーにが『てへっ』ですか! 本性がドMショタの変態だって事を知ってる私には、そんなの通用しませんよ!」 

「誰がドMショタの変態だ、この真性ドSのガチレズ腐れ痴女がーーーー!」

 どっちもどっちである。

「そもそもダンジョンマスターがボディを作った所で、私達の魂のエネルギーを収めるだけの容量を確保出来るとで…も?」

 勢いよくさらに食って掛かろうとしたリリアだが、何かに思い当たったのか、だんだんとその声量が小さくなった。

「気付きましたか? そう、ダンジョンマスター達は、ユリアーネちゃんのボディを造った実績があるんです! もちろん、私達も技術協力をしましたが、それでも恐怖の大王の欠片を宿した魂を移しかえるに足るボディを造った…ね」

 なるほど、確かにサラの言う事は尤もだ。


 過去、システムバグでパンゲア大陸にあちらこちらの次元・宇宙から大量に転移して来た者達の中に居た、恐怖の大王の魂の欠片を宿した火御華。

 恐怖の大王の魂の欠片を切り離すため、彼女の精神体を彼女の記憶の一部滑翔や改竄を行ったうえで新しいボディへと移し替えた事がある。

 恐怖の大王の魂のエネルギーは、この世界基準で言えば非常に大きい。

 いや、サラやリリアの基準でも、十分に巨大なものだ。

 それを収める器…つまりボディを造り出したのは、他ならぬダンジョンマスター達だ。

 もちろん、その為の技術供与をリリア…サラも少しだけだが…行ってはいるのだが、それでも基礎技術はダンジョンマスターが保有していたものだ。

 あの技術を使えば…いや、それだけでは足りないかも知れないが、それでも応用し発展させる事が出来れば、2人のボディも造り出せるかもしれない。

 そもそも、輪廻転生管理局が持つテクノロジーを、解放魂魄統括庁が持っていと考える方が不自然だ。

 何故なら、統括庁の方が管理局よりも上位組織なのだから。

 ダンジョンマスター達が、サラやリリアの様なボディを造れないと言うのであれば、それは技術力の問題では無く、単に各部を構成する先端部品の材料が不足しているからだろう。

 ならば、彼女達が現在入っているボディを素材として供与できれば、もしかすると造る事が可能かもしれない。

 無論、現在のボディを素材として提供するのであれば、新たなボディが完成するまでの仮のボディが必要なわけだが…。


「それはそうですね。これは私もうっかりしていました。確かに私達と彼女達の力が合わされば、十分に新たなボディの作成は可能かもしれません。しかし、その為の仮の器を準備せねばなりませんが…」

「そこです!」

 リリアが眉間に皺を寄せて考え込むと、間髪入れずサラが叫ぶ。

「どこです?」

 お約束のボケをするリリア。

「仮の器の準備ですよ! そもそも、私達のボディの稼働限界は、まあ10年ぐらいとしましょう」

「正確には違いますが…それで?」

「その間に借りのボディの作成が出来れば問題ないんですよね?」

 確かにサラの言う事には一理あるが、気の長い話である。

「ええ、そうですけれど…その仮のボディの作成が問題なのでは?」

 リリアの言う様に、全くもって問題は解決されてない。

「そこで、問題を解決するために、是非とも必要なのが、例の魔法陣っぽい所で見つけたひよこなのです!」

「ひよこ?」

 サラが自信満々に問題解決の糸口が、ひよこにあると言う。

 生真面目なるリリアには、どうにもサラの言う事は理解できなかった。




 ※ いつも応援して下さる皆様へ


 いつも読んで頂きありがとうございます。

 誠に申し訳ありませんが、体調が優れず、椅子に座る事も厳しくなっており、毎日更新することがかなり難しくなってしまいました。

 決して治らない病気ではありませんが、2週間ほど加療が必要との事です。

 書きあがった話は順次アップしていきますが、前述の事情により、1話ごとの話の内容が短くなってしまたtり、更新が数日空くかもしれません。

 出来る限り頑張って書いていきますので、引き続き応援、よろしくお願いいたします。

                               大国 鹿児

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