第842話  考えるな…と?

「確か、この星って魂の総量が地球の1/200とか言ってたし、新しい輪廻転生の輪を作るための実験星がここって。んで、俺が転生者第1号だって、局長が言ってた気がする…。って事は…?」

 あの不思議空間で、光る球で漂ってた俺が、神様だか管理局長だかに拾い上げられた時に、確かにそう聞いた。

「ふむ…それは、全く関係が無いとは言い難い物があるのぉ」

 ボーディの言い方だと、関係ある事なのか無い事なのか、つまりはどっちか分からんぞ?

「トールヴァルド様、その言葉はどの様な時にお聞きになったのですか?」

「えっと…確か俺が地球で死んで、魂なのかな? 光る球になって漂ってた時に拾われたんだ、神だか局長だかに。その時に言われた言葉だよ、モフリーナ」

「その漂っていた場所には、トールヴァルド様と同じような光る球が、無数に存在してたのではないですか?」

「ああ、うん。モフリーナの言う通り、幾つもの光る球の列があって、ゆっくりとどこかに流れて行ってた…な。空間自体は真っ暗だったけど、無数の光る球でぼんやり明るかった様な…」

 合ってるよな? あまりにも昔すぎて、記憶もはっきりしないけど。

「それは…」

 俺の返答に、言葉を詰まらせるモフリーナ。

「うむ、間違いなかろう…」

 何か納得した様に、ボーディがモフリーナに視線を送りつつ頷いた。

「…納得…」

 そう、モフレンダが一言。 

 えっ、結局俺の言葉で、何が分かって何を納得したんだ?

 その後、ダンジョンマスターズは、口を閉じて何やらそれぞれ考え事をしている様だった。

 説明は? ねえ、説明してくれないの?

 困った俺が、ずっと黙ったままだった3人の教王を見ると、こちらは姿勢よくソファーに座り、口だけでなく目も閉じていた。

 え~~~~っと…これって、どういう状態? 


「結論が出たぞい」

 不意にボーディが口を開き、そんな事を言い出した。

 って、結論?

「えっと…ボーディの考えた結論?」

「アホか! 妾達が考えた結論じゃ!」

「だって、お前らずっと黙ってたじゃん」

 声出して相談とかしてないよ? 

「ああ、すまぬの…妾達だけのネットワークを使って脳内会議をしておったんじゃ」

 ほう、ネットワークね。

 んで、脳内会議? アニメとかでたまに見る、天使君と悪魔君が頭の中で喧々諤々しる…たみたいな会議かな?

「何を考えてるか知らぬが、多分お主の考えている様な事では無いと思うぞ?」

 俺を見つめるのじゃロリがそう言うが、俺の考えてる事が分かるのかよ、この絶壁ツルペタめ!

「妾に喧嘩を売ってるのじゃな? そうじゃな?」

 あれ? マジで俺の考え読めてるのですか、超絶美少女ダンジョンマスター様?

「ま、まあ…確かに妾は超絶美少女ではあるが…」

 コレ、マジで読めてるじゃん! って思ってたら、モフリーナから、

「えっと、トールヴァルド様…そのぉ…全部声に出ておりますが…」

「えっ、声に出てた!?」

「はい…」

 モフリーナさん、めっちゃ苦笑いです。


「お主と話すと、どうもグダグダになるのぉ…」

「すんません、ウルトラスーパー世紀の美少女ボーディ様」

 ここは煽てるのが吉でしょう。

「お、おだてるでない! 確かに妾は世紀の美少女ではあるからして、その言葉は否定せんが…」

 真っ赤な顔のボーディ…おもろい。

「と、とにかく結論じゃ! お主は当分管理局の事は考えず、そのまま普通に過ごすがよい」 

「考えるな…と?」

 どうゆこと?

「そうじゃ。お主には管理局から監視役が付いておろう?」

「サラとリリアさんの事か?」

 監視役と言ったら、あの2人しかいないよな。

「そうじゃ、あの2人の事じゃ。お主は、管理局に思考を読まれない様に、その妙ちくりんなヘアピンを造ったのであろう?」

 妙ちくりって酷い! たっちゃんは自信作だぞ!

「それ、何の役にも立ってないからの?」

「え、マジで!?」

 たっちゃん…出来ない子だったのか? いや、そんな事ない! 

 だってあのあり得ない程に美少女な野球部マネージャーが言ってた。

 たっちゃんはたっちゃん! かっちゃんはかっちゃん! って! ファーストキスだってして貰っちゃったんだぞ!

「お主、何を考えておるのか分からんが、絶対にこの場とは関係ない事を考えておるじゃろう?」

 めっちゃ疑惑の目でボーディに…はっ! ダンジョンマスターズ全員に疑惑の目を向けられた!

「しょ…勝負は正々堂々!」

「何の勝負じゃ…というか、お主やっぱり下らない事を考えておったな? そうだな!?」

「み、みっくすに繋がってるから…」

「意味わからんわ!」

 くっ…あの名作を理解してもらえないとは…。


「えっと…お話を続けても大丈夫でしょうか?」

「…ちょっと、真面目に考えろ…」

 モフリーナに遠慮がちに話しかけられ、モフレンダにド直球で注意されました。

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