第814話  もちょっと捻れや!

 双六の商品化は、あっという間に進んでしまった。


 大きさも1/4畳程度まで小型化してカラフルに色付けをし、推奨遊戯人数も5人までとした。

 あんまり人数が増えても大変だしね。

 マス目も様々なイベントを細かく設定をすることとなった。

 内容は…様々なイベントにて、コインを稼いだり損をしたりしながら、最終的に億万長者を目指す…。

 サイコロの代わりに盤の中央に、1~10までのルーレットを設置…。

「なかなかの完成度ね、トールちゃん。これなら胸を張って陛下に献上できるわよ」

 何故か母さんに、この某ボードゲームのまんまパクリを陛下に献上なさいと言われてしまった。

「は、伯爵様…僕と柚香が黙ってれば、元ネタは分からないかと…」

 微妙にユズキに庇われた。

「お兄さま、やはり新商品は陛下に献上するものです。メリルお義姉さまも居るのですから、陛下のお耳に入る前に…」

「おにいちゃん、おうさまにげーむもっていこー!」

 コルネちゃんとユリアちゃんにも、退路を断たれてしまった…。

「それで、おうさまといっしょにあそぼー!」

 ユリアちゃん、それはちょっと難しいと思うの、お兄ちゃんは。


『大河さん…これって、まんま人生ゲ〇ムですね…』

 言うな、サラ。

 俺もそう思ってたところだし、開発中に何度もユズキにも突っ込まれた。

『まあ、星が違うんだから版権の問題も無いですけど…一応、確認しますが、このゲームの名前は?』

 じ…

『じ?』

 人生…遊戯…盤…。

『まんまやんけ! もちょっと捻れや!』

 サラよ…俺にネーミング・センスを求めてはいけない。

『…。メタルガードにトールちゃんダイナミックですから、期待はして無かったですけどねえ…』

 あれは若気の至りだ…忘れてくれ…。

『………』


 そんな感じで、市販予定の遊戯盤を家族に見せてみた。

 もっと在庫は無いのかと言われたので、一応手元に有る全部で4個を出したら、あっという間に取り上げられて、あちこちできゃーきゃー遊び始めた。

 ルールの説明書を皆で読んで、何やら4ヵ所に分かれてゲーム開始した様だ。

 とても好評で、家族だけでなく、妖精族一同や、ドワーフメイド衆も積極的に参加している。

 しかも、人が何度も入替って遊んでいるらしく、もの凄い人気だ。

 うん、嬉しいんだけど…これって、いかに地球の人生〇ームが偉大であるかを見せつけられた様な気がする…。

『貴方様、様な気が…ではなく、多くの人がその名前を知り、多くの人が一度は遊んだことのある、偉大なるボードゲームなのです』

 うん、リリアさんの言う通りです…。

『大河さんって、結局は地球の知識でボロ儲けしますよねえ。いっつもチートな能力が無いとか愚痴ってますけど、これって明らかに知識チートなんじゃね? あんた、やっぱチーレム野郎だよ』

 返す言葉もございません…サラの言う通りです。

『そ、そうでしょうとも! これでサラちゃんの偉大さも理解できたでしょう!』

 それは無い! 絶対に無い! 天地がひっくり返ってもあり得ない!

『サラ、その意見には、私も賛成しかねますね。この星が終焉を迎えようとも、貴女の胸は1ミリたりとも成長しません!』

『ちょ! 大河さん、そこまで言い切りますか? ってか、リリアは言い過ぎだろうが! しかも胸のサイズは関係無いだろうが! すぐに成長してやるよ! 超巨乳のバインバインになって、大河さんもリリアも泣かせてやるからな!』

 安心しろ、サラ。

 そんな日は、未来永劫来ないと断言できる。

『サラ、貴女のボディは私が管理しているんですよ? 未来永劫来貴女のサイズは不動です』

『うわーーーーん! 大河さんの仮性ピー(自主規制)野郎がーーー! リリアの腐れピー(自主規制)女めーーーー! 覚えてろよーーーーー!』

 サラが、やたらと頭の中で喚いてフェード・アウトして行った。

 ふ…悪は成敗される定めなのだ。

『まあ、別にサラは悪では無いですけどね』

 リリアさん、そこは雰囲気ですよ、雰囲気。


 てなもんや三度笠。

 結局、俺は母さんのアドバイスに従い、人生遊戯盤を発売する前に、メリルと2人で陛下に献上に王都へと向かった。

 他のメンバーは、今回はお留守番。

 2泊3日の、超特急空の旅だ。

 ついでに母さんから、

「お父さんの様子を見てきなさい。良いですか、女の影がちらつくようなら、浮気なんてしてたら、殺し…ヤッて構いませんからね」

「はい、お義母さま!」

 母さん、怖いよ…。そして、それに元気に返事するメリルも怖いよ…。

 

 父さん、後生だから、浮気なんてしないでいてくれ…。

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