第546話  例のブツ到着

 そんなこんなで、ユズユズが到着するまでの約4日間を過ごしたわけだが、ここで敵軍に少しばかり動きがあった様だ。


 妖精さん達と蜂達と精霊さん達による、最凶最悪の妨害工作隊によって、敵兵の中に暗黒教の神とその主神であるシースを疑問視する声が上がっているそうだ。

 いやそれだけでなく、脱走兵も出ているらしい…が、元々物資不足になってからというもの、結構脱走兵自体は出ているそうなので、それが加速したって感じなのだろうか。

 とは言っても、そもそもの食料不足が祟って体力が落ちまくっているから、脱走する気力も体力も無いのがほとんどらしく、残るは死屍累々の様相を呈しているそうだ。

 あれ? 戦闘しなくても妨害工作だけで、この戦争勝てんじゃね?

 とか思っていたのだが、何故か逃げた奴は、好き勝手に略奪や凌辱を繰り返す奴らに合流して、またそっちが増えているとか。


 さすがに妨害工作を行う事が妨害工作隊のお仕事なので、そっちは本格的に介入していない。

 何組かが、見つけ次第毒針攻撃を仕掛けてはいるのだが、どうもやりすぎてしまった様で、天罰だの何だのという噂が広まってしまった様だ。

 屋外での悪行には、天罰が下るとか何とか、間違った方向性で。

 いや、隠れて悪いことしたって、天罰は下るぞ?

 光学迷彩で隠れた妖精や蜂や精霊さん達が、屋外で悪るさする奴らを集中的に攻撃したからの噂だろう。

 最近では、家の中とかに閉じこもって出て来なくなった。

 外での目に付くほどの悪行は減ったのだが、どうやら見えない所ではより酷くなっているらしい。

 拉致・監禁・暴行ってのは、悪い意味でセットだからな。

 そりゃ、悪漢立ちが外に出れないストレスをぶつけるのは、女子供の弱者だろうし、家の中の様な場所に囲い込んだらやりたい放題になるんだろう。

 つまりは、より酷くなったという事なので、何の手心も加える必要も無くなったという分けだ。

 しかし…これは、ユズユズとアイテムと例の物が到着したら、すぐに殲滅作戦を開始した方がいいな。

 こんな奴らは、この世界には不要だ。


 んで、待ちに待ったホワイト・オルター号が到着しました。

 タラップから降りてきたのは、ユズユズの2人とサラとリリアさんの変態ペア。

 カーゴルームからは、一抱えもある様なでっかい箱に梱包された例のブツが大量に運び出された。

 作業にあたってくれる兵隊さんには、取りあえずそのまま防壁外の天幕の中に運び込んでもらった。

 取り扱い注意の重要なアイテムなので、そこんとこヨロシク!

 陛下と首長に説明してからじゃないと、色々と問題出るからね。

 

 搬出の指示をしていると、ユズキがそっと近づいて来て、誰にも分からない様にそっと俺の手に例のブツ2号を握らせた。

 えっと…後ろ手で視線も合わさずに、そっと手渡す意味あるのか?

 マジでヤバイ薬の売人みたいだぞ? いや、見た事ないけど。

 いや、持って来てくれてありがとう…とても助かったよ、うん。


 作業も大体落ち着いてきたので、ちょと陛下達への説明の前に、サラとリリアさんを引き連れて、ホワイト・オルター号へと向かいます。

 サラとリリアさんに、念のための再確認をするためだ。

 主に局長への確認事項なんだが、ここは重要だからきっちり白黒つけさせて貰わないとな。

 まず、日本からの転生者というダース皇帝には、本当に前世の記憶はないのか。

 ダース皇帝に特殊なスキルや能力は無いのか?

 本当にこの世界からダース皇帝を消し去ってもいいのか?

 後始末には、局長は手を貸してくれるのか?

 今まで色々とテケトーになってた部分を、この際だから詳らかにしとこうかなっと思っての事なのだ。

 まあ、またサラがゲロ塗れになるけど、そこは御愛嬌。


 結果として、あの皇帝には前世の記憶どころか、何の能力もスキルも無いらしい。

 別に、皇帝は元より悪行働く様な奴らは、この世界から退場しても問題なし。

 むしろ世界が綺麗になるし、人類の生存圏が保たれるし、魂のエネルギーも回収できる(人種に転生させる気は無いそうだ)ので、ラッキーだとか。

 後始末として、回収したエネルギーで、希少種の子供を増やすつもりだとか。

 …希少種? あ、エルフ、ドワーフ、魔族さんに人魚さん達かな? 


 それは良いけど…もしかして、俺の領地で出産させるつもりか?

 俺の仕事が増えるじゃねーか! 

 いや、大変喜ばしい事だと思いますよ、慶事ですからね。

 まあ、局長への確認も出来た事ですし、取りあえずサラはきちゃない顔を洗って着替えて来てね…ゲロまみれだから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る