第201話  欲しいな~×5

 男爵邸のある街を出た俺達は、特に急ぐ事も無くのんびりと帰路に着いた。

 あの隊長さんなら俺が何を言いたいのか理解しただろうし、例え男爵が俺達一行への襲撃命令なんて出したとしても、受ける事は無いだろう。

 ま、襲撃されたところで、撃退出来る戦力が揃ってるしな…


「ユズキとユズカの神具って格好いいわねえ!」「本当ですよね~メリル。ミレーラはどう思う?」「私も…格好良いと思いました」

 何やら後ろの席で婚約者~ずが…

「マチルダもああいった時に戦う力は欲しいだろう?」「ええ、イネスの言う通りですね。私もアルテアンの女となれば、やはりお母様の様に強くならなければ」

 う…すげぇ嫌な予感が…それと母さんが強いのはあくまでも物理的なものじゃないぞ?

「「「「「私も神具欲しいな~」」」」」

 うん…やっぱ、そうなるよね…

「あ…ああ、うん。ネス様に頼んではみるけど…期待しないでね…」

「「「「「やった~!!」」」」」

 はあ…我が家の女衆には、これ以上強くなって欲しくないんだけどなあ…


『大河さん大河さん! これはチャンスです!』

 何が?

『メリル、ミルシェ、ミレーラ、マチルダ、イネス…5人ですよ、5人!』

 婚約者が5人なのは、お前だって知ってるだろ? 何がチャンスなんだよ?

『違います~! 5人いるんですよ? 分かりませんか? ヒーロー戦隊です!』

 おお! って、戦隊物でヒロインはせいぜい2人までだろ? 

『何も馬鹿正直に戦隊物をなぞる必要はないでしょう? まあ、大河さんが赤色で彼女達に5色を振り分けてもいいですけど』

 6人でハーレム戦隊物かよ! それに赤はユズキがいるしなぁ。

『それならプリ〇ュアって手もありますよ?』

 う~~~~む…それはそれで良いかもしれんが…

『ノリが悪いですね。大河さんが大好きだった、魔法少女まどか☆マ〇カも5人いましたよね?』

 むむむむ…それは確かに…何かキャラ的に当てはまりそうな気も…

『おぉ! やっとやる気になりましたね』

 いや、でもあれは流石に無茶だと思うぞ? やるなら武装は固定しないと、ものすごく創造が大変だろ? そもそも時間操作なんて絶対無理だ!

 でもマ〇さんのあの衣装デザインは秀逸だったなあ…特に胸の辺りが…

『ん~、でしたら、【ドキッ! 女だらけのヒーロー戦隊! ポロリもあるよ!?】ってのはどうです?』

 戦闘中にポロリしちゃ駄目だろ! 俺の前だけでして欲しいわ! …じゃなくて、

『も~大河さんったら、独占欲強すぎ~! あと欲求不満っぽ~!』

 やかましい! 大体だな、あの天鬼族3人娘がいれば護りは万全だし、装備創る意味がないはずなんだよ。

『いや、だからあの5人は戦いたいわけですよ。まあ、イネスは完全な脳筋ですけど…』

 う~~~~~~~む…確かにそうだが、残りの4人は何の訓練もしてないからなあ…

『それはコルネちゃんとて同じ事。まあ、最近はナディアと訓練してるそうですが。4人にも今からさせれば良いではないですか』

 しゃねぇなぁ…RPGみたいな各職業特化型の装備創って、5人組でパーティー組ませてみるかね。

『タンク職マチルダ、アタッカー職イネス(剣)及びミルシェ(メイス)、ヒーラー職ミレーラ、魔法支援及び司令塔メリル…って感じですかね?』

 お前…めっちゃ的確な振り分けだな…特にミルシェのメイスは、よく考えると嵌りすぎだ…

『ふっふっふ! 何となくミルシェには鈍器が似合う気がしてたのですよ!』

 おま、絶対それ本人に言うなよ!?

『いや、装備渡した時にばれますが?』

 その時は何か言い訳考えるよ…

『殴られ無きゃいいですね~。ハイライトが消えた目をしたヤンデレ・ミルシェにトゲ付メイスで(笑)』

 怖い事言うなよ…ありそうで怖い…


 そんなこんなで、夜の街道を我が家に向かって、蒸気自動車はひた走る。

 そろそろ男爵家では、隠し部屋だの金庫の中身が綺麗さっぱり消えてる事が発覚した頃合いだろう。

 きっと大慌てで犯人探ししてるだろうが、俺達一行は全員完璧なまでのアリバイが存在しているから、晩餐会の人の出入りに乗じて侵入した賊の犯行とでも考えるかな? それとも、俺達を疑って何かするだろうか?

 証拠が皆無だから俺達に向かっては何も出来るはずが無いんだけど。 だって手ぶらで晩餐会場から、直で車に乗り込んだのは、晩餐会の参加者全てが…男爵家も全員で見てたわけだし。

 

 まあ、男爵家がどう考えようが関係ないか。

 さって、男爵家から押収品したブツを拝むのが楽しみだな~♪

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