第182話  週休2日制を強く推進!

 証言その1 メリル(婚約者~ず №1)

「私は、初めてそのお姿を拝見した時から、変わらずお慕い申し上げております。もちろん誰よりも愛しております」


 証言その2 ミルシェ(婚約者~ず №2)

「子供の時から、ずっとずっと夢はトールさまのお嫁さんです。大大大大好きです!」


 証言その3 ミレーラ(婚約者~ず №3)

「わ、私は敗戦国の人質だって、最初は思ってました。でもアルテアン領の暖かいお心に触れ、それ以上に暖かく優しくトールさまが私を包んでくれましたので、もう切っ掛けなんてどうでもいいんです…トールさまの居ない世界なんて考えられません…好きです」


 証言その4 マチルダ(new! 婚約者~ず №4)

「始めはなんて綺麗な顔をした可愛い男の子なんだろうって、びっくりしました。でも文武共に秀で、商才にも長けていて、あんなに多くの種族の領民から慕われるトールヴァルド様にだんだんと惹かれたんです。年下? 関係ありません。ええ、もちろん好きです。早く子供が欲しいです!」


 証言その5 イネス(new! 婚約者~ず №5)

「メリル王女様の護衛として、初めてトールヴァルド様を見た時は、何てひょろっちい男の子なんだろうって思ってました。しかし、手合わせをしてみて己の目がいかに曇っていたのか、世界がどれだけ広いのかを思い知らされました。私の嫁ぎ先は、彼の方しかおりません! 強い子を産みます!」


「さて、これで全ての証言は出そろいました。被告人トールヴァルドよ、判決を言い渡す。多くの少女の心を虜にした罪で死刑! その罪、地獄で償え!」

「何を言ってんだ…サラ…」

 朝食後に、なぜかメリル、ミルシェ、ミレーラ、マチルダ、イネスが、顔を真っ赤にしながら証言(?)をした。

 そして判決は死刑と…なんだこりゃ?

「いえ、トールヴァルド様でもこれだけの美少女を侍らせたハーレム野郎を見たら、爆ぜろリア充! 地獄に落ちろ! って思うでしょ?」

「まあ、確かに」

「俺はハーレムなんて望んで無い! とか言いつつ、ちゃっかりハーレム野郎になり下がった天然タラシに対する断罪裁判です」 

 ぐっ…

「婚約者~ずも、すでに№5まで埋まりましたので、もう十分でしょう。後は愛人もしくは妾枠ですが、そこは私が立候補します」

「なんでだよ! もういいよ! 5人で十分だよ!」

「何をおっしゃるウサギさん。1週間は何日ですか?」

 ん? 何をいきなり…

「7日だろ?」

「婚約者~ずは何人ですか?」

「5人だな」

「この世界では週休1日が主流です。トールヴァルド様も、少なくとも週に1日はお休みをとっていますよね?」

「まあな。アルテアン領では週休2日制を進めているが…それがどうした?」

 こいつは何が言いたいんだ?

「当然、夜のお勤めも週休1日! 嫁が5人だと1日分の空きが出来るのです! ならばそこは愛人枠で埋めるべきです!」

 ドーーーーン! と、どっかの全身黒づくめの笑ってるセールスマンの様に人差し指をつき付けるサラ。

「却下! 我が家は週休2日制を強く推進します!」

 サラは、がーーーん! って顔をしながら、

「断固拒否します! 婚約者~ずの皆様もそう思いますよね! ね!」

 周囲を見回しながら同意を求めるが…全員が妄想(夜のお勤めの所だろうな)に浸ってて、聞いちゃいねえ(笑)

「ちょ! みなさん、援護射撃プリーズ!」


「え? ええ…そうですわねぇ。トール様も、週に2日ぐらい休まれても…(子種も濃くなりそうですし…)」

 メリル、なんかボソっとすごい事言わなかったか!?

「トールさまのお休みは1日でも構いませんが…(残りの1日は皆で一緒にというのもありかも…)」

 ミルシェ、何言ってんだ!?

「…トールさまが可哀想です。お休みにしましょう!(休み明けはきっと激しく愛してくれるはず…ぽっ♡)」

 ちょ、ミレーラは純情可憐が売りだったんじゃ無いのか!?

「トールヴァルド様に、妾の必要は無いとおもいます。(私が全て絞り出します!)」

 し、絞り出すって、マチルダさん怖い! 怖すぎる!

「そうだな。トールヴァルド様は週に2日は使いものにならなくなる予定だし。(最後に私が吸い尽す!)」

 イネスさん? あなたそんなキャラじゃ無かったでしょう!?


「うわーーーーん! 周りはみんな敵ばっかりだったーーーー!! いいもん! 奥様に言いつけてやるもーーーん!」

 ばーーーん! と勢いよく扉を開けて、サラは飛び出していった。

 お前はガキか! ってか、サラが母さんに言いつけたら…

 やばい…いやな予感しかしない…母さん、サラの味方にだけはならないでくれ…


 ふと、婚約者~ず(2人増員)が、何やら円陣組んでこそこそしていた。

「順番は…」「私は一緒でも…」「では第1週は…」「次の週は複数で…」「あ、あの…私は出来れば1人が…」

 全員、赤い顔して何を話しあってんだよ! 声かけ難いだろーが!

 俺の居ない所で話しあえよ! いや、俺が居ない所でも、そんな相談されるのは嫌っていうか困るって言うか…

 

 もしかして俺の死因は、どっかのゲームみたいに、HP・MP・SPの枯渇なのか!? そういやVITとMNDも低そうだし…LUKなんて最初期値の気がす…

「愛してくれて…ありがとう!」って、涙ながらに静かに笑いながら死んでいきそうな嫌な予感がするなあ…

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