第16話  さあ本邦初公開!

 さあ精霊さん、いざ鎌倉!

 じゃなかった今度は壁を造るよ~! 集合~!

 またもやわらわらと寄ってくる精霊さん。

 

 今度はただの頑丈な壁だからイメージも簡単だぜ!

 こう……こんな感じででいいかな……そう言えば防壁って言えば、あのアニメのビルみたいに格納出来たら便利だよね~。

 あのアニメの劇場版の続きみたかったなあ……。

 庵〇監督、年に2本は作れよなー! そしたら死ぬ前にもっと観れたのに……。

 あ! 余計な事考えちゃった! 精霊さん待った待った待ってーーーーーーーーーーーーっ!


 ズゴガゴゴオグゴギゴオゴゴオオゴゴオオゴオ! ガキン!! ガキン!!


 遅かった……どっかの第3新東〇市みたいになっちゃったよ!

 収納式の建築物みたいになっちゃったよ!

 兵装ビルみたいになっちゃったよーーー!

 ……いや、さすがに兵器は付いてないけど。

 

 今は草原だが、もしも展開したら……めっちゃ目立つやん!

 

 父さんは、良くわかってないみたいだから造りなおそうかな。

 え? 何か言った父さん……。ん? どうなったのかって?

 見たいの? ……そうですか見たいんですか……仕方ない、お披露目しましょう。


 一部でいいので防壁展開! 精霊さん、オネシャス!


 ぎゅぃーん! ぎゅぃーん! って、凝ってるなあ、ぎゅぃーん! って効果音まで付いてる。みるみる草原から生えてくる、高く(3mぐらい)厚い(1mぐらい)防壁。

 

「これが『魔物』専用迎撃要塞開拓村、ヴァルナル領。私たちの村よ。そして、あなたが守った街……」 

 嘘です……まだ襲われてもいません。

 ミ〇トさんて、エロくていいよなあ……現実逃避中。


 父さん唖然としてます。

 そりゃそうだわな。

 地面から、ガシャンガシャンって壁がせり上がって来るんだもん。


「と、トールヴァルド……これなんだ?」

 しごくごもっともなご質問。

「えっと……魔物迎撃用収納式防壁」

 なので正直に答えましょう。

「どうやって造ったんだ?」

「え~魔法でちょちょいのちょいと……」

「ちょちょいのちょいなのか?」

「うん、ちょちょいのちょい……」

「そうか……」

「うん、なんかごめん……」

 だんだん居た堪れなくなってきた。

 マジごめん……。

 

 転生物でやりすぎると、だいたい王族やら意地の悪い貴族に睨まれるもんね。

「全部終わったら壊すから」

「いや、隠せるならばいい。取りあえずこのまま戻ろう」

 あら父さん随分と前向きですな。このままで良いとおっしゃる。

 でも後半の言葉には賛成できませんね。


「僕は残る! お父さんは戻って皆を守って!」

「お前を置いて戻れるか! ……まだ何かするのか?」

 まあ普通は、5歳の子供だけおいて帰れないよな……ここも正直に言おう。

「ここで魔物? 魔獣? を迎撃します。村に一匹たりとも入れません!」

「はあ!? いやだってお前子供だぞ? ……ああ魔法があるのか。だけど魔法だけで何とかなるのか……う~~~ん……」

 なんか悩んでる。

 でも何とかしなきゃダメなんだって。

 俺の明るい未来のためにも、ここは踏ん張る所でしょう!

 

 ここはアレを見せる時ですな。

 ではお見せしましょう、さあ本邦初公開!

「お父さん……見てて。僕の魔法を!」

 まあ隠れて何回かしたけど、人前でするのは始めてなんですよ。

 いやん……恥ずかしい。


 左手は握って腰に、右手は真っすぐ左斜め上に伸ばして、右へと大きく回す。

「トールちゃん……へん……しん!」

 出来るだけ声は低く太く(子供なので無理です)。

 右手が右斜め上45度にまできたら素早く握り腰に引き付ける。

 左手を右斜め上に真っすぐ伸ばしポーズを決めたら、両足揃えてジャンプ(15cmぐらい)!

「とぉー!」

 ベルトのシャッターが、カシャン! と開いて風車が回わる! ギュイーン! 

 キラキラとメタリックなエフェクトが舞い降り、身体に纏わりついて集まると変身プロセス完了!

 メタリックな全身鎧が見事に装着出来ました。

 ジャンプ後の変身プロセスは、わずか0.05秒間で完了する。

 では、変身プロセスをもう一度……は、しませんよ?

 メタリックなフルフェイスのヘルメットの目がビカーン! って光る。

 そしてポーズ! このポーズ、記憶をたぐって練習したんだよ。

 でも、元ネタなんてみんな知らないからいいけど、混ざっちゃってるね。

 そう言えば名乗りを上げなきゃなあ……名前何にしよ?

 トールちゃんまん? ダメだ! ひょうきんな族じゃないんだから……。

 

 取りあえず、メタリックな鎧が装着できた。

 俺の姿を見た父さん、もはや呆然自失。

 開いた口に握りこぶし入んじゃね?

 

 もうおまけだ!

「エネルギーブレード!」

 右手で腰からナイフを引き抜くと、片手剣に早変わり!

 そして左手でグリップ付近から剣先までをなぞると……あら不思議! 青く輝きます!

 やっぱ格好いいなあ! フォースの人が持ってるのと違って、実体あるのが良いんだよ!


 あ! 父さんの顎外れたみたい……。

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