第16話

「だぁぁぁ!!疲れたー!!」


 控え室に戻ってすぐ、シルバさんが机に突っ伏した。


「………こら、一刀………行儀悪いわよ……」


「んな事言ってもよ……流石にあのイベントは応えたろ?」


 つい先程行われた、ギルド戦イベント『大陸の侵略者』は、俺たちを非常に疲れさせた。


 まず、大陸の侵略者はタワーディフェンス系で、拠点となる地点に何体敵がきたら負けルールであり、勝利するにはただただひたすら耐える。それだけだ。


 時間は1時間。ウェーブが15回ほどあり、1ウェーブ3分間あり、合間合間に1分間のインターバルが存在する。5、10、15でボスが存在し、時間内に倒せなかったら防衛失敗となる。


 最初はそれほど苦労しなかったのだが、7回目から敵の数が桁違いに多くなった。皆何回もHPがゼロになったし、一番の武器でもある俺とメリィちゃんの連携もあまり機能しなかった。


 それでも何とかギリギリクリアは出来たが、人数的な問題でめちゃくちゃ疲れた。もうやりたくない。


 メリィちゃんは疲れすぎて俺がおんぶをしている。集中しすぎて体力を使いすぎたようだ。


 ちなみに、スピカさんもダウンしてハナミさんに抱っこされていた。小動物みたいで可愛い。


「……ほら、メリィちゃん。椅子あるよ」


「うん………」


 ゆっくりと床へ下ろして椅子へ座らせる。俺もその隣に座ると、今までの疲労がざっと押し寄せてきた。


 あー、無理。ほんと無理。もう動けねぇや………。


 ハナミさん以外の皆は全員同じような感じで疲れている。


 ハナミさんは中央で1番敵を薙ぎ払っていたはずなのに、なぜあんなにも平然としているのだろうか。


 今日の公式イベントは終了。俺らの出番も終了なため、明日は特等席でイベントを楽しむ予定となっている。


 ブブッ、とスマホが振動し、それを取ってから画面を見る。そしてらフヨさんから『お疲れ!by殺僕』とメッセージが来ていた。あ、なんかちょっと疲れとれたわ。


 もう今日は誰も疲れて何も話さないで各々ホテルへ戻った。


 そして次の日。普通にイベントを楽しんだ俺たちは、出演者皆で記念撮影を撮るとの事だったので、総勢25人で写真を撮った。後々家へ送られてくるらしい。


 解散し、改めてコラボの約束と、握手をしてからフヨさん達と別れる。今日日付が変わる瞬間に殺僕の皆さんもログインするとの事だったので、ちょっくらひと狩りいこうぜ!との事。勿論了承した。


 そして、残ったのは運営の使徒スレイプニールの八人。


「それじゃ、皆とはここらでお別れか。何だか寂しくなるぜ」


「えぇ、ゲームだけでは物足りなくなりそうです」


 シルバさんの言葉にアランさんが肯定する。


「一刀の言葉に乗るのは不本意ですが、確かに、ちょっと寂しいかも………」


「まぁ悲観することは無いさ。私たちは、ゲームでいつだって繋がっている。それに、今度からは声だけだったら何時でも聞けるだろう?」


 ハナミさんはみんなを見渡した。


「また………こうやって、皆で顔を合わせる機会があるかは分からないが、今までよりも、距離は近くなった。それに、会おうと思えればいつだって会えるだろう?」


「………そう、だな」


 ゴランさんが感慨深そうに頷いた。


「だから、今はこの言葉で締めくくるよ。『また会おう、皆』」


 そして、ハナミさんはニコリと笑った。


 こうして、俺たちの一世一代イベントは幕を閉じるのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

終わりまであと半分だぁーーー!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る