第12話 王様とプログラマ

「ところで、配列はなんで0から始まるのですか?」


 ソラリスが不思議そうに尋ねる。


「う~ん。考えたことないや」


 現世でそんな疑問持たなかったなあ。

 こういうところが、僕が現世でエンジニアとしてパッとしなかった理由かもしれない。


  僕の配列アパートは話題を呼び、100とか200じゃ足りなくなった。


「人型の配列変数! アパート[1000]!」


 人型の変数箱が1001個連なった『配列 アパート』が僕の手によって出現した。

 どこからともなく皆やって来て、0から1000まで入って行く。


「10エン払えたら払ってください」


 お金を払える人は払ってくれるようにお願いした。

 僕だってMPを消費してるからね。


「お前か? 最近街で話題になってる、あきらとか言うやつは」


 何か、偉そうな兵士みたいな人が僕の似顔絵を見ながら話し掛けて来たよ。


「はい。そうですが」

「ちょっと王様が呼んでるから来てくれる?」

「はい」


 遂に来たか。


「お主が、街で大活躍しているのはわしの耳にも届いておる」


 玉座に座った王様が白髭をいじりながらそう言った。

 トランプのキングそっくりの王様だ。


「お前はどこの出身の者じゃ?」

「えっと……日本の……」

「ニホン?」

「彼はデンパの出身です」


 ソラリスがフォローしてくれた。

 ……ってデンパってどこだ?

 この国のどっかにある地方の名前か?


「おお。わしの父親と同じ出身地か! こりゃ奇遇じゃ!」


 王様は嬉しそうだ。

 ソラリスも気が利いてるなあ。


「お前の魔法がすごいと話題になっておる」


 王様が僕の『プログラミング』スキルを気に入ってくれたみたいだ。

 僕は得意になって『プログラミング』スキルのことを話した。


「よし。お主に魔王を倒すことを命じる」

「はい」

「達成したら、王の座を譲ろう」


 おお!

 この僕が王様に。


「では、行ってこい!」

「え?」


 援助とかないのかな。


「あの……」

「王国にはもう魔王討伐の予算が無いのじゃ。数々の勇者達に援助して来たせいでな」


 その勇者達は魔王に勝てなかった。

 予算的にも、この僕が最後のチャンスらしい。


 城を後にした僕は、ソラリスに話した。


「『納期ノウキ』まで三ヶ月を切った。あまり悠長なことを言ってられません。僕もソラリスさんも効率よくレベルを上げながら、ステータスを強化しつつ、魔王の城を目指さなければいけませんね」

「はい」

「今までギルドで働きながら思ったのですが、ちょっとレベルを上げるのにも時間が掛かるなあと思いました」

「はい」

「なんかいい方法ありませんか?」


 ソラリスは小首を傾げ、考え込んでいる。


つづく

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