第69話 トロール軍団襲来1

カツサンドを作る事に成功したコジローは、その後、いろいろな街に転移で跳んでは、市場へ行き、色々な食材を買い込み食べてみて、それが地球のどんな食材に似ているのかをメモし、資料にまとめる作業に精を出していた。


そのため、ギルドにはほとんど顔を出さなくなり、依頼も受けていなかったのであるが・・・


ある日、宿に戻ったら、ギルドに至急来てほしいと伝言が残されていた。




もう夕方遅い時間であったが、ギルドに行ってみると、ギルドマスターの部屋に通され、リエに状況を聞かされた。曰く、ある街の近くで、トロールの集落が発見され、パニックになっているとの事だった。


アルテミルノ東にあるネビルと言う街があり、その北にはミヤルという街がある。


ネビルはアルテミルと同じような山の中、そしてミヤルはそこよりさらに山深く、領境に近い街だ。


その2つの街の間でトロールによる被害が急増し、ネビルの冒険者が調べたところ、トロールが集団で山中に住み着いているのが発見されたのだという。


ゴブリンが集まって集落を形勢する事はよくある。ゴブリンは弱いが、数が集まると厄介なので、発見次第、冒険者や騎士によって討伐される。


オークが集落を作ることもたまにある。オークはゴブリンに比べるとかなり強く、それが集落を作るとなると、かなり危険である。集落を形勢したとなると、リーダーとして、より頭が良く強い上級種であるオークキングや魔法が使えるオークメイジなども居るのは確実である。そうなると、ランクC以上、できればランクB~Aクラスの冒険者による討伐隊を組織する必要がある。


オークもまた、ゴブリンと同様、人形の魔物や人間の雌を使って子供を増やすことができる。そのため、人間の女が狙わられるのは、ゴブリンと同様である。その特性から、人間の女性たちには特に忌避されているのだ。


トロールもまた人形の魔物である。オークよりもさらに強く危険な種族である。ただし、こちらは繁殖に多種族の雌を使うことはない。サイズが違い過ぎるからなのか・・・


太鼓の昔、神と戦った巨人族の末裔であるという伝説があるが、現在のトロールは知能はオークとそれほど変わらない。しかし、巨人族の末裔と言われるだけあって、体が非常に大きく、力が強いのである。


初心の冒険者がもし出会ったなら、巨大な棍棒の一撃で終わりと言う事もある。


ただ、それほど数が多くないはずで、それがたくさん集まって集落を作っている、しかも人間を襲っているとなると、かなりの驚異である。当然、リーダーとなる上級種が居る可能性は高いだろう。




ネビルとミヤルの冒険者だけでは対処できず、各街のギルドに支援要請が入っているとの事。ネビルに近いソマ・センドイの街からはすでに冒険者が応援に向かっているらしい。


アルテミルの冒険者も2日前に出発したので、既にネビルにはついている頃だという。コジローは市場の調査に別の街に泊まり行っていたため、完全に出遅れてしまったのである。


ウィルモア伯爵の元にも既に連絡は入っており、すでに増援の騎士団を組織し派遣していた。援軍の指揮官はリヴロットである。




そこに、ネビルの街から連絡が入った。


各街のギルドマスター同士は、通信用の魔道具(オーブ)を使ってお互いに連絡が取れるようになっている。そのオーブで、トロールの軍団がネビルの街に侵攻を開始、迎撃に出た冒険者の舞台と戦闘に突入し、冒険者側にかなりの被害が出ているとの事であった。このままでは、トロール達がネビルの街に到達するのも時間の問題であるという情報であった。


協力を要請さらたコジローは即、ネビルに転移で急行する。リエも一緒に連れて行ってくれと言うので一緒に転移した。


リエは、コジローとマロの戦力が絶対必要になると見込んで、応援に向かわずに待っていたのだ。


リエはAクラスの二つ名を持つほどの剣士である。そのリエが残るというのは大きな戦力ダウンになるが、コジローさえつかまえられれば、転移で即座に現場に駆けつける事が可能であることをリエは知っていての判断であった。




トロール軍は、ネビルの街の外壁まで既に迫っていた。生き残った冒険者たちは全員街の中に退却し、城門を閉じての籠城戦となってしまった。


トロールがいくら強いとはいえ、それなりに腕の立つランクC以上の冒険者が応援に駆けつけているのである、ここまで押し込まれるはずはなかった。押し込まれてしまった理由は・・・トロールの中に上級種であるボストロール、さらにはその上位種であるトロールキングがいた事だけではなかった。なんと、近親種であるサイクロプス、さらにその上位種であるギガンテスが居たのだ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る