あなただけに尽くします
「今講義終わったから、家行くので絶対待っててね!」
「はーい🙋♀️」
とりあえずミッションクリア。
彼女の最寄駅に着くと、花屋をスマホで探した。
『ちょっと遠いなぁ。見られるじゃんかよ』
彼女の喜ぶ顔のためなら自分が恥じることなど天秤にかけようもない。
のはわかってるんだけど、、、
しばらくスマホを見ながら歩いていると、
目的地の赤いピンと自分の位置を示す青丸が重なった。
「あの、恥ずかしいのですが、21本の薔薇を花束で下さい」
「かしこまりました。薔薇にも種類や色がありますが、お好みはありますか?」
「あっ、えっと、、、お任せします。色鮮やかにできますか?」
綺麗な店員さんは、何も言わずに笑顔で返してくれた。
恥じらいながらしばらく待っていると、
奥から青・赤・紫の三色の薔薇の花束を抱えて出てきた。
「出来ました。こちらでよろしいでしょうか?」
「はい、とても素敵です。ありがとうございます」
「お気に召されて何よりです。それではお会計は五千円になります」
財布から五千円札を取り出し店員さんに渡すと、代わりに花束をもらった。
「ありがとうございます。こんな素敵なプレゼント、彼女さんは幸せですね」
「あっ、、ありがとうございます。喜んでもらいたくて。彼女待たせてるので。ありがとうございました」
「がんばってください」
店員さんが背中を押してくれたから、
あとは最後ちゃんと決めるだけ。
そんなことを考えながら歩いていると、すれ違う人から視線を感じた。
『若干二十歳の若僧が一丁前に花束持ってるんだから、そりゃ視線も釘付けになるよな、、、』
恥ずかしいので顔を下に向け、小走りで商店街を抜けた。
彼女の家の前に着いた。
最後に深呼吸。
インターホンを押した。
「ピンポーン」
「はーい、今開けまーす」
「ガチャッ」
「ぼくと結婚してください」
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