神水使いですが、錬金術師として成り上がりたい

黒いきつね

第1話 夢世界の出来事①

 真っ白い空間の中に、私は佇んでいた。


 どこまでも続くような白い空間が目に映る。


 どの方角を見渡しても同じ風景が続いていて、それが私の視界に映りこんでいる。


「はー、この夢....また寝ながら体験するのね」


 あーあ、これはまた例の夢世界の中にいるみたい。


 朝起きてからも、夢の内容が、鮮明に思い出せるし不思議な夢世界に、また迷路に迷い込むように入り込んじゃったみたいだよ。


 この夢はふと忘れた頃に見る夢で、その夢世界の中では、私は自由に声を出して喋れるんだ。


 いろいろと胡散臭い内容の夢だけど、私にとっては、とても興味深い物語が演じられているんだよ。


 まあ、取り敢えずまずは、いつもこの胡散臭い夢世界に紛れ込んだ時にするように、自分自身をペタペタ触りつつ、私自身の身体が欠けたりせずに、この夢世界にしっかり入り込んで存在できているとか、簡単な確認作業の工程を次々にこなしていく。


簡単な身体検査から、簡単なストレッチに移行して、次は発声確認だね。


「あーあー、声のテスト、声のテスト」


「私の名前は、アヴィリスカです」


「私は、とっても可愛い女の子です」


「学校の男性陣の注目の的です」


「いつも影では、可憐で綺麗と噂されてます」


「そんな学校生活では、分厚い猫を被ってます」


「よーし、声も問題なく発声出来てる」


「ふぅ、今回も全然問題ないみたい」


 発声出来るのを確認した私は、次に自分の姿がしっかりと投影されてるか、調べたいなーと心の中で思い浮かべて見た。


 すると、真白な地面から透明な水が凄い勢いで逆流するように上り、瞬く間に私の正面に水で出来た鏡が現れた。


 細かいことには気にしない私は、その鏡で自分をよく観察する。


 この夢世界に迷い込んだ私の姿は、10歳の子供に見える、ぺったんこの微笑ましい体型をしてる。


 そんで、お顔のパーツもいつもと全く変わらず可愛らしく整っていた。


 どうせだから、悩殺ポーズやら、ウインクしてみたり、危ないポーズや様々な姿勢をとって遊んでみる。


 そこで思った私の結論──私ってば、めちゃめちゃ可愛い!!


 このままずっとポーズを決めて遊んでいたいけど、目的は忘れちゃいないよ。


 ある程度ポーズを決めて満足できたから、1人で色々ポーズをとるのは、そろそろお仕舞いにして、次の工程にいこうかな。


 そうした中で、改めて確認してみると、水の鏡から見て色々なポーズを決めた夢の世界の自分の姿が、何処も失われていない完璧な状態だったから、ひとまず異常がなさそうで安堵した。


 透き通り澄んだお水のように青くて柔らかい自慢の長髪も、しっかり夢世界で存在できていたから、それがちょっと嬉しくて安心してしまい、思わずホッとしながら少しだけ和んでしまう。


 私の長髪は、腰の位置まで頑張って伸ばしたんだけど、すっごくサラサラで超気持ちいいの。


 少し髪が気になったので、頭を左右に振ってみて、自慢のサラサラ髪を揺らめかせてみた。


 うん、水の鏡に映る私の髪は、綺麗な青い煌きを放つ髪質で、夢の中でも最高の出来栄え。


 その水の鏡に映る私の服装は、ベッドに倒れこむ前から着ていた、子供用の錬金術師専用の作業着を身につけている。


 その作業衣服は、白衣の長いコートみたいなデザインで、ポケットが一杯ついてて便利なんだよ。


 因みにこの錬金作業着は、私特性の一張羅で両脇の大きなポケットは、次元収納のポケットがついているんだからね。


 果物とかパンとかも入れても大丈夫で、サイズさえ合えば何でも入るんだから。


 いいでしょう!!欲しいでしょう!!でもあげないもん!!


 因みになんで夢の中でも、この錬金作業着姿なのかと言うと、それはこの姿で寝ちゃったから....。


 年頃のキャピキャピした女の子がそんな服装で寝るのは、間違っていると思うかもしれないけど.......


 これには、海よりも、と──ってもふか──い事情があるわけ!!


 ──それは、我が家が代々続く錬金術師の家系だからなの。


 もう少し具体的に説明するとね....私は幼い時から英才教育を受けさせられていて、本宅の離れに自分専用の工房も与えられ、日夜研究づけの楽しい毎日を送り、時間を忘れて研究に没頭していたら....。


 突然襲ってきた強烈な睡魔が、可愛らしいパジャマに着替える暇を与えないくらいの、強い睡魔が襲いかかってきて....。


 私も必死に睡魔に抵抗したんだよ!!


 ──でもね、やっぱり無理だったんだ。


 私は、あえなくそのままベッドに倒れ込み.....仕様がな──く、この超快適な錬金作業衣服を、夢の中で着せられてるんだよ。


 決して普段から、このとっても便利な錬金作業衣服を、四六時中着てる訳じゃないと思うよ。


 多分.....きっと....そのはず...だよね?


 ──そうそう、今は私のことなんか、どうでもいいはず。


 この夢世界の対策を、今はしっかりしないといけないのよ。


 無事に元の世界に帰れるように気を抜いたら、駄目なんだからね。


 よーし!!しっかり考察して考えよう。そうしよう。


 この夢世界はね、毎回同じ夢舞台を、寸分狂わず演じられているのを、毎回強制的に繰り返しように見せられるんだ。


 そんで、目覚めてからは、いつも頭の奥隅にが住み着いていて、必死に何かを訴えかけているような、なんだか説明しにくい変な感じがするんだよ。


 まあ、そのっていうのは、私の中では、既に何なのか判明しちゃってるんだけど...。


 その何かって言うのは、説明するのも毛嫌いするぐらい嫌なんだけど、それは、もう1人の私なんだよ。


 そのもう1人の私の言葉は、基本的に遮断して聞こえなくしてるから、何を言われてもガチ無視状態なんだけどね。


 まあ、その話をすると、私の気分が非常に重たくなるから、そろそろやめよう。


 気が向いたら、その話題を掘り下げてみるけど、今は気分が乗らないや。

 

 取り敢えず、その話題は横に置いて、さっきの話しに立ち返って夢の世界の話を進めていくよ。


 普通の夢の中ならその時の夢に沿って、ある程度は自由に振る舞えると思うけど、この夢に関しては全く違うんだ。


 多分、根本的に全然違うと思う。


 この夢の世界では、すーっごく、自由にできるんだもん!!


 凄く奥深い夢の世界なんだ。


 ただ、ちょっと他の夢と違うのは、私が全く存在しない透明人間のように、この夢世界に認識されて取り扱われているのよね。


 夢世界の内容は、もう何回も見た同じ演目だから知ってるけど、初めの内容はぜんぜん変わらないんだから。


 夢の前半部分の内容は、もう、大体そらで覚えちゃった。


 前半部分は全く変わらない舞台だけど、後半部分の舞台の内容が、毎回この夢を見るたびに、少しずつ、新しく内容が更新されていくからさ。


 私はぶっちゃけ後半部分だけ見れればいいんだよ。


 この夢は、最近夢の中の説明で判明したけど、どうやら私の前世が、舞台となっている夢みたい。


 その夢世界での前世の私は、下界投下目前もくぜんの水の女神様だったらしい。


 あえて、超ぶっちゃけて言うと、その水の女神様は、私の頭の片隅に無断で住み続けているもう一人の私みたいなんだ。


 そんな水の女神様は、どうやら下界投下されて暫くしたら、他の女神に上手い具合に救出されたようなんだけど、その後の夢世界でのやりとりを何度も繰り返し見物してたら、少しずつ判明してきたんだけど、どうやら女神同士で色々細かい取り決めなんかで、揉めているようなんだよね。


 その演じられる女神達のやりとりを、私は聞きながら、いろいろ理解しようとしていたんだけど、この頃は色々難しいし、女神様の前世なんか全然興味もないから知りたくもないし、面倒臭くなっちゃたから、思い切って宗旨替えをしたんだよ。


 そう──この夢世界を、心ゆくまで楽しむことにしたんだ。


 ぶっちゃけ、難しい話しを永遠と聞くより、夢世界の中で遊んでたほうが面白いもん。


 そろそろ、疲れたきたからこの辺で考察も終わりにしようかな。


 まあいいや、この夢世界をいつもの調子で、色々楽しみながら眺めていようかな。


 凄い胡散臭うさんくさい夢だけど、まあ、気にしない気にしない。


 だって、夢の中なんだもん。


 この胡散臭い夢は、まだまだ凄いことが色々できちゃう。


 その1つ──それは、視点操作。


 視点に関しては、離れたり近づいたり、いろいろな視点から見ることができちゃう。


 ちょっと調子に乗って、ノリノリの遊び心を発揮して、この前同じ夢を見た時は、白空間の高い空中からながめて見れて、ちょっと満足した夢の記憶が残っているよ。


 まあ、どの方向からでも見つめることが出来る、ちょっと変わった変な夢なんだ。


 ん──ん!!


「..........」


「....あー、そうだ!!思い出した」


「忘れてたよ──!!」


 思わず夢の中で、超大声をだしてしまった私。


 今その話を考えてたら、ピンと閃いてしまって、凄く大事な事を思い出したから、どうしても声を張り上げるように叫んでしまったよ。


「まあ、誰も聞いてないからいいや」


 寝ている私は、多分、凄い大声で、寝言を口走ったかもしれないけどね。


 でも、私の寝室兼工房研究所は本宅の離れにあるから、朝お姉ちゃんが起こしにくるまで、私以外、誰もいないしこないから、安心して大声を張り上げちゃいまーす。


 さっきは、まったり、なんて考えてたけど、この夢を見たら、是非確認しなきゃいけない課題があるのを忘れてたんだよ。


 今、ようやく思い出したよ。


 よーし、それじゃあ、いっちょやってみますか。


 今も、ちょっと遊び心満載気分で、視点を操作してと.....

 :

 :

 :

 :

 :

 .....よーし、視点確保完了!!


「万全万端!!準備完了!!」


 今回は地中の中からその夢を、じっくり堪能たんのうしちゃうよ。


 今の時間を使って地中の中から、空間を見えるか実験して確認したら万事OKで実験終了!!


 夢の中の他の登場人物と、その場で女優を演じている別人の女神わたしのおパンツの色を、今回の任務で──ばっちり!くっきり!しっかりと!確認しちゃうぞ!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る