第5話 班決め
数学のテストで赤点を取ってしまったが故にバイトに遅刻してしまうという俺の高校時代における汚点となった日の翌日。今日は昨日の夜にみゆが言っていたように修学旅行の班決めの日であり、今まさに班決めをしようとしているのだが.......
「そう言えば.......慎也って違うクラスだったな.......」
「まさか私も本気で忘れてるなんて思わなかったよ」
昨日の夜にみゆに呆れられた理由を聞いても明日になれば分かるの一点張りだったのだが.......確かに今日になれば分かった。そして、分かってしまったからこそ問題であった。
「どうしよう?」
「和哉くんって加賀くん以外にお友達はいないの?」
「.......俺が慎也以外の男子と話しているところを見たことがあるか?」
「.......ごめんね?」
「謝るな.......余計に悲しくなる.......」
「そう言えば黒嶋くんってみゆちゃんといない時はいつもぼっちだったね!」
「うっ.......」
2年生に進級してから早くも2ヶ月が経過しているにも関わらず俺はこのクラスで話せるのはみゆと武宮さんの2人だけなのだ。ということで、修学旅行の班員のメンバーの1人は武宮さんであり、先生からは4人班を組めと言われているのであと1人必要なわけなのだが.......
「本当にどうしようか?」
「うーん.......」
「みゆちゃんが誘えばどんな男子でもイチコロだと思うよ!」
「却下」
「えー。いい案だと思ったのに」
「武宮さんって交流が広そうだけど誰かいないの?」
「ふふん! 私は確かに交流が広い方ではあるけど、それは女の子に対してだけで男の子の知り合いはあんまりいないのだ!」
「いないならなんで偉そうなんだよ.......」
俺達が誰に声を掛けるか決められずにいる間にも周りでは次々に班が完成していく。.......あれ? 最後に誰か余るまで待てばいいだけなのでは?
「ねぇ、残りの班員って男の子じゃなきゃダメなの?」
「普通に考えてそうだろ?」
「うん。でも、女の子だけの班とか男の子だけの班もあるみたいだよ?」
「それがどうしたって.......いや、待ってくれ。さすがにそれは.......」
俺はみゆの言わんとしていることが分かった.......いや、分かってしまったのだ。けれど、さすがにそれはやめて欲しいのだが.......
「連れてきたよ!」
「ちょっ、武宮さん!?」
「これで班も決まりだね」
「しくよろーみたいな?」
俺がやめて欲しいという前に武宮さんが行動してしまっていた。早すぎるだろ.......。そう。みゆが思いついたのは別に残りの1人が男子である必要もないよね? それなら武宮さんの知り合いが誰かいるだろうといったものであった。つまり、班員の男女比率が1対3になってしまうというものだったのだ.......。
武宮さんが既に連れてきてしまったため、それは嫌だなんて言えるわけもなく、俺の班はみゆ、武宮さん、知らないギャル? の4人となってしまったのだった。
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