第7話  実り


   実り



 一粒の籾を まけば


 数え切れないほどの実を つける


 喜びの雨に 打たれれば 笑顔の実


 寂しさの雨に 打たれれば 憂いの実


 怒りの雨に 打たれれば 卑屈の実


 

 汗の水を かければ


 大きく膨らむ 稲の穂



 籾の一つ一つに 顔がある


 優しく話しかければ 微笑み


 思い出話をすれば 空を見上げる


 こっそりと 悩み事を 打ち明ければ


 頭を 垂れる


 

 風が吹いても 落ちることのない穂


 稲を 刈り取らなければ


 籾は そのまま落ちて うずみ火になる


 願いは その火が愛の炎であること

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