とある鯖のチャット欄その2

キャミー

うっはー、ウィスパイヤー荒れてるじゃん。マナー無い子が居るからこうなるんだにゃー


夜顔

ですね。被害にあった人、これからもゲーム続けられるでしょうか?


キャミー

どうかにゃ? 

本人がこの惨状を見ているのなら、何かしらのアクションはするはずだけど


夜顔

人によっては全く見ないということもありますが、どうでしょう。

鎮火するのって難しくないです?


キャミー

手っ取り早いのは、情報公開することだけど、それって負けじゃん? 

ほんと、この手の新情報の問題は後を絶たないわけだけど、皆食いつき過ぎだよねー

……やんなっちゃう


烏賊

こんばんは……って、どうしたの?


夜顔

イカさん、こんばんは! 

昼前にモノシスの心霊現象で話題のプレイヤーに突撃した人がいるんですけど、それが話題を呼んじゃってまして


三日月

私も今それを見たところだよ。正直、呆れたものだ


マーリン

おやおや、皆さん。どうなさいました?


キャミー

マーリンさん、ばんわー。

にゃー、簡単に言いますとSNSでちょっと頭のおかしい人が起こした無許可の個人情報流出事件ってところですたい


夜顔

見ていてお粗末としか言いようのないことですが、ちょくちょく起こるんですよねー


烏賊

ちょっと炎上してたからすぐに分かったわ。

これ、投稿主もなってないけど会話に乗っかって情報ばらまいた連中の配慮……常識の無さが原因ね。勢い余ってスクショ貼っちゃった感じではあるけど、一気に拡散されちゃったもの。もう取返しがつかないわ


三日月

果たして、彼らの言い分が正しいのか分からないが少なくとも本人の了承を得ずにスクショを貼り付けてしまったのは事実であろう。

こうなってしまった以上は、情報欲しさに動く連中に件の少年が纏わりつかれてしまうことになる


キャミー

だねえ


マーリン

なるほど。大体流れは解りました。

今まではグレーゾーンでしたけれど、今回の件で完全にアウトとなったわけですね?


三日月

ええ


ベル

失礼します


烏賊

あら、ベルカいらっしゃい


キャミー

ベルちゃんだーやっほー。

こっちに顔出すの珍しいじゃん。いつもROMってんのに、どしたん?


ベル

ええ。お久しぶりです。

ちょっと皆さんに情報共有をしておきたくて


三日月

どういったものだい?


ベル

心霊現象の件ですが、話題の中心となっている人物がソウであることが判明したため報告を


夜顔

ええ!


マーリン

あらあら。ソウ君、いつの間にか幽霊になっていたのね


“MAX”タロウ

いや、死んでないっすよ


烏賊

はあ、ソウかい…… 始めからやらかすわね


キャミー

それおもんない


烏賊

狙って言ったわけじゃないわよ! 


“MAX”タロウ

ソウ本人から内容を聴きましたが、やはり相手の聞き方がまずかったっすね。

ソウの都合を考えず、一方的に質問だけ突き付けて情報を取ろうとした聞き方だったそうで


ベル

ソウもヒントは与えたと言っているので、情報を渋りはしましたがかなり譲歩していると思いますよ。

本人は乗り気ではありませんでしたが、取り敢えずソウと一緒にウィスパイアーを確認しました。やはり尾ひれを付けてソウが一方的に悪いように書かれていますね


三日月

確認だが、彼が壁をすり抜けられるのはスキルではなくクエストによるものだそうだね?


ベル

ええ。モノシスにある独自クエストをソウが引き当てたようで


キャミー

独自クエストを引き当てたことを教える必要は別にないものねー。

情報の秘匿なんてMMOじゃ当たり前だしー。

むしろ何故情報を出してくれると思ったのか?


夜顔

情報の秘匿は悪であると謳う連中が一定数いますからねぇ……


三日月

そうだね。

開示してもらえると有難くはあるけれど、第一発見者は情報を取り扱う権利を持っている。情報を絞るのは当たり前だ。

だがソウ君はヒントを渡したのだろう? 十分に譲歩をしていると思うがね。

それなのに、教えて貰えない逆恨みで個人情報を流すとは……


ベル

恐らく、沸点が低いだけで後々後悔してしまうパターンだとは思っています。

おかげで、今モノシスの街で大規模な独自クエストとソウの捜索が始まったようです


“MAX”タロウ

PKの連中も動きだしたみたいっす。

独自クエストってことは出回っていない素材が出るかもしれないんで、そのドロップ品目当てってところでしょう


烏賊

はあ。それ、かなりまっずい状況になりそうじゃない


三日月

そうだな


キャミー


烏賊

ほら、まだイベント中じゃない?

だとすればモノシスには多くのプレイヤーが集まっている。始めたての初心者はシステムで守られているけど、ようやく育ってきた子たちもついでに狩られそうで


“MAX”タロウ

確かに


ベル

厄介ですね


烏賊

うん。すでに知り合いの友人がPKされたらしくて、落ち込み気味だったよ


夜顔

話がややこしくなってきましたねー


キャミー

そうにゃー


ベル

こうなれば、私たちは一度ソウと合流すべきかと


“MAX”タロウ

PK嫌いのソウが怒らなきゃいいが……


烏賊

過去の因縁があるものな。だとしても、彼がPKKに回ることはしないだろう?


ベル

ええ。身の回りの防衛で終わらせるでしょう。一応、本人にも注意するように言っておきます



“MAX”タロウ

だな


三日月

現状打つ手はそれほどないが、PKのことは周りにも注意喚起しておこうか……


キャミー

知り合いを通して初心者たちに流しておくニャー。トップ陣は各自でどうにでもするだろうし、そっちはほっとくにゃー


マーリン

そうね。なるべく周知させておきましょうか。PKKも動いてくれるかもしれませんし


ベル

ですね。こちらも知り合いに流しておきます


夜顔

わっかりましたー。注意しておきます


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る