殺死想

わたしの産んだ悲痛の声が

生きることなく落ちていく

誰にも助けられず

何も感じることもなく

そこにどれだけの重みがあっても

落ちて踏み潰され

粉々になって

血だらけになって

朽ちて腐って役に立たない


それでも私は産み続ける

途方もない闇の中で

光を見ぬまま殺されて

かわいそうとも思わない

虚ろな目は

ただただ空を見つめている


そうか

何も産まなければ

殺されることもない

もうやめてしまおう

何一つ意味の持たない

一生懸命飲み込めば

殺されたりしない


そうしたら

無理やりにでも吐かせようとする

何も出ないから

空っぽの空き缶なんて

踏み潰されて

ぺったんこ


やっぱり殺された


わたしはお人形

言葉を話す権利はない

それすらも許さないなら

落ちてる石になろうか


ただただ伝えたことが

一生懸命産み出したものが

邪悪なものなら

わたしは悪魔かなにか

きっとだから殺されるんだね


笑いながら明日を見送ろう

日は昇らなかったよ

長い長いトンネルに

出口はなかったよ

雨は止まなかったよ

落ちる所まで落ちたら

底が抜けたよ

うしろの正面には

わたしがいたよ


ただそれだけで

ほらみんな

笑顔になったね

めでたしめでたし

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