映らない僕
ずっとずっと不思議だったんだ
僕は鏡に映らないようだ
透明人間でもないのに
全く映らない
だから僕は自分の顔を知らない
楽しそうだね
嬉しそうだね
悲しそうだね
みんなが教えてくれるから
僕はどんな顔してるのかが分かる
だけどそのほとんどが
間違っている
僕はどんな顔してるか
自分では分からない
頭を叩かれた
嬉しそうだね
そう言われてまた叩かれた
幸せそうだね
嫌だやめて欲しい
心の中は僕以外分からない
皆は僕の顔が分かるのに
皆は僕の心を分かってくれない
僕の心は僕自身にしか
写らない
どこを見ても僕の顔は映らない
僕だって伝えたい
心の中を移したい
でも自分がどんな顔してるかなんて
自分で分からないんだから
どうすれば映せる?
悔しくて
辛くて
悲しくて
涙が流れたことは分かったんだ
感触はあるんだ
大丈夫?悲しいの?
僕は振り返った
そこにあったのは
涙を流す初めて見た
僕の顔
君には伝わったんだ
だから君には僕が映るんだ
その人は僕のこと
理解してくれた
受け入れてくれた
僕の心を写してくれた
それから僕はその人に会う度
心を移すことが出来たんだ
鏡には未だ映すことはできないけれど
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます