第八話 静かなる赫怒
キミのせいで、八峡くんと別れる事になったよ。
おめでとう、キミの思惑通りだ、良かったねぇ。
……まあ、どっちみち。
ボクはボク自身の意志で、彼の元から離れるつもりだったけれど。
ただ、その時期が少し早まっただけなんだよ。
それでもね、ボクはボクのタイミングで彼の傍から離れたかったんだ。
キミ程度の人間が、それを早める事にしたんだよ?ボクの彼とのお別れをキミが邪魔したんだ。
「なぜッおやめくださいッ!教祖様ぁ!」うん。取り敢えず、ボクが作り出した厭穢で四肢を捥ぐ。
そして芋虫の様に蠢くキミを、どう処罰するのか考えてみようと思ったけれど。
やっぱりダメだねぇ。キミの声は、なんと言うか、聞くに耐えない。思ったよりも醜い声をしているねぇ。
キミの悲鳴がボクの溜飲を下げるのだと思ったけれど、むしろ、イライラが止まらないんだ。
こんな事なら、さっさとキミの首を捥いで厭穢の餌にでもしてしまえば良かったかな?
「あの男は貴方に相応しくないッ!」………へえ。キミはなんだろうね。そうと確信できる何かがあったのかな?
じゃあ聞くけれど、キミは八峡義弥のどれ程の知識を持っているんだい?
彼の好きなもの。彼の嫌いなもの。大切なもの。食べ物の好みや性癖、どういった人生を歩んで来たのか、どの様な経緯を持っているのか。
キミは八峡義弥の何を知っているんだい?どうかボクに教えておくれよ。
「あいつはぁ、教祖様にぃ、相応しくなあいぃ!」………結局何も知らないと言う事だね。
「あのクズがァ!教祖様に相応しく―――」……黙れよ、うるさいんだ。……キミ如きが、八峡義弥を語るんじゃない。
もういいや。キミは必要ないよ。
ボクはこれからやる事があるんだ。
取り敢えずは……キミは餓死させる事にしよう。
それが一番良い方法だと、ボクは思うから。けれど、それでもボクの怒りは収まらないだろうから……。
「な、なにをッ?ぐ、あぁああ!!」ボクの陰陽術式は、対象に貼り付ける事が出来る。取り敢えずは、信者五十人分のトラウマと恐怖を植え付けといて上げたよ。
存分に怖がって絶望してそして死んでしまうと良い。それでもボクを信仰すると言うのならば……。
「ゆ、許してくれるの、ですか?」………うふふ。
許すわけないじゃないか。
あぁ、キミの人生は、実に退屈でつまらないものだった。
キミの存在は、ボクの記憶にも残らない程に、つまらないものだった。
……ん?そういえば。
キミの名前は、なんだったけ?興味がないから、覚えてないや。
まあ、いいか。キミの様な人間なんて。
それじゃあね、名前も知らない人。
少ない余生、苦しんでいると良いよ?
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