池井戸潤

空飛ぶタイヤ

◎挫けぬ心

◎不条理との戦い


 とても現実的な出来事なのに、それをしっかりとエンターテインメントに仕上げている素晴らしい作品。初めからずっと面白い。僕の周りの人間もみんな絶賛していた。

 池井戸潤さんといえば、世の中では『下町ロケット』のほうが広く知られていると思うが、個人的にはこの『空飛ぶタイヤ』のほうをおすすめしたい。僕の中では『空飛ぶタイヤ』の尖がった部分を少しまろやかにしたのが『下町ロケット』という位置づけだ。


 本当かどうかわからないが、この『空飛ぶタイヤ』の突っ込んだ部分(実際にあったある大企業のリコール隠しが題材)をあまり好ましく思わなかった人がいて、ある圧力がかかったことによりこの作品は直木賞を受賞できなかった、という噂がある。真偽はどうあれ、そのエピソードも作品の物語とマッチしているようで、面白い。

 大人なら一度は読んでみてほしい作品である。きっと胸が熱くなるはず。

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