14冊目 ラーオ博士のサーカス


 ラーオ博士のサーカス

 C.G.フィニー ちくま文庫


 漫画「からくりサーカス」の登場人物、ドクトル・ラーオの元ネタではないかと吾輩が勝手に疑っている幻想小説。だって登場する幻獣まで符合するんだもの。この作品のラーオ博士は中国人だけど(なので、正しい表記は老先生との説もある)。

 ラーオ博士の天幕の中はナンセンスの極みで、我々の常識などあっという間にとろかしてしまう。本編も愉快だがもっと罪深いのは巻末の「カタログ」。「わかりきったことについての解説、読まなければよさがわからない」とあるがまさにその通り、イカが思春期のタコだなんて知らなかったぞ。

 幻想におぼれたい贅沢ものは、ぜひこの作品を読むようお勧めしたい。想像以上の幻想に、おぼれるというよりも流されてしまうこと請け合い。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る