第23話 無題

三年前

 高校二年の三学期が終わる頃、あと一年学生生活を終えれば社会に出なければいけないのか。そう思うと胸糞悪い気持ちになった。

「一般の社会人は頑張って働いても良くて生涯で三億円ほどしか稼げない」というのを朝、登校する前に立ち寄ったコンビニで手にとって読んだ雑誌で知る。何か得体の知れないどんよりとした気だるさがおれを包んだ。必死にがむしゃらに働いても報われない。そんな中で社会の犬にはなりたくはない。その思いから、何の志もないのに大学への進学を強く切望するようになった。

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