えろ爺の教え

 すると、オジサマからとんでもない言葉が飛んできた!


「神木さん彼氏は?恋愛トークとか」


 ネェでば。


 あったらこんな所来てないよ!


 いや、彼氏いても来るけども…。


「な、無いですねぇ…。

 逆に何故彼氏が出来ないのか聞きたいくらいです!ブスっていうのは無しで!ハハハッ」


 すると、オジサマを筆頭に、中年たちがクビを捻り始めた!


「そうだねぇ…やっぱり服装かなぁ」

「いやいや、こういうの好きな子もいるでしょ!」

「じゃあ、やっぱり男性と初デートの時はホラーは控えた方が…」


 そ、そんな真剣に議論しないで!


 私、本当に可哀想な娘みたいになるから!


 聞かれたから言ってみただけだよ!


 すると、そんな様子を見ていた御老人が大きく「うぅぅううん!!」と咳払いをした!


「いやいや、みんな。神木さんは若い!それだけでいいじゃないか!」


 おい、エロジジイ!!


 噛み合ってねぇぞ!!


 ここで私の次に若い三十代後半くらいの女性がこんなことを言い出した。


「男なんて馬鹿だからねぇ!うまく掌で転がすのよ!うまい具合にいい人を見つけたら、とにかく女子力を見せつけるのよ!

 結婚したら大丈夫よぉ!主導権なんかすぐに女に転がるんだからぁ」


 おぉ、貴女はそのクチか!


 だが、その瞬間、エロジ……御老人がガシャンとカップを置き顔をあげた!


 なんだなんだ今度はなんだ!?


 御老人は女性に向き直ると、


「そう、そういうもんだ!」


 と語り始めた。


「結局、男はみぃーんなスケベぇ!」


 おい、ホントか?

 オメェだけじゃねぇだろうな。


 すると、オジサマも唸り出す。


「でもさぁ、女らしさもいいけど、そこまで自分を殺してまで結婚ねぇ…」


 あ、独身貴族っぽい。


 御老人に相槌をうっていた中年女性が振り返る。


「あ、でもセイユちゃん、とにかく、絶対長男は駄目よ!!特に農家と漁師は苦労するわよ!」


 あんたやっぱり嫁か……!?

 かれこれ私の話題だけで三十分は経った。

 三十分って結構な時間だよ。テレビアニメ一回分だよ。


 そこで、最後に御老人がまとめにかかる。


「個性もいいんだよ。

 でもね、基礎があって、それで個性が光るんだよ。

 誰だって料理はできた方がいいし、気が利くに越したことない。しかし、頑なに堅実な奥さんになることはないんだよ…みんな欠点あるんだから、興味があることから、徐々に始めたらいいんだよ」


「…………………」


 し、沁みた…。


 感動し過ぎて覚えてないけど、そんな事を言っていた。

 エロジジイのくせに。


 もう帰りは覚えてない。


 電車に揺られながら、先日出合い系に行った事を後悔した。

 出合い系も楽しいんだけどね。


 ……………。


 しっかりしなきゃ!


 気晴らしに、帰りにTSUTA屋に寄った。


 しっかりしなきゃ!


 PSP(ゲーム機)って3000(当時新しいモデル)出てたのかぁ…。いいねぇ!


 しっかりしなきゃ!


「スミマセン!このPSPの黒ください!」


「はい、メモリーカード込み込みで約2万5千円でございます!」


 あぁぁああああ。

 早速、散財してる!!!

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