転楽

西からやってきたそれは十六枚の花びらをつけていた

それはいわば私だった

私は自らの手でその十六の花びらをむしり取る


西からやってきたそれはもう花びらをつけていない

私は激情に身を呑まれたのだ

私は最早特別な存在などではなかった


しかし同時に気付く

これが自由かと

これが生ということかと

周りの人々は皆私を見て嘲笑う

私はこんなにも幸福を感じているのに

所詮人間は自分の目線でしかものを見れないみたいだ

それに気付いた私は薄ら笑いを浮かべながら歩く

道端に咲いた菊を摘んで

その花びらを一枚一枚むしりながら

ただひたすら歩く

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