第10話 遊園地より
ゆっくり地上に降り立つ観覧車。
セイヤ「おかえりなさいっ!」
かすみ「待ってたよー。」
ゆか「あっ、うん。ただいまっ!」
けんた「それじゃあ次は?」
ゆか「ここに来たらあれっ!」
かすみ「私見てるーっ!!」
セイヤ「大丈夫。みんな一緒だから。」
ゆか「大丈夫よっ。ねっ、けんたくん。」
けんた「あーっ、へっ、平気ですよっ…」
ゆか「もしや、けんたくん?」
けんた「だ、大丈夫、大丈夫、全然っ!!」
ゆか「かすみちゃん、大丈夫だって。ここにもビビってるのいるし〜。」
けんた「よしっ!行くぞっ!」
セイヤ「じゃー、乗りますか。」
ゆか「イェーイ、あっがれー!」
セイヤ「大丈夫?かすみちゃん?」
かすみ「うん…多分。」
ゆか「おいっ、大丈夫かっ?」
けんた「…はっ、は〜、はっ。」
ゆか「こっちはダメだな。」
ガチャンッ!
『ヤッホーー!!』
『キャー!』
『おーっ!』
『…ハフ、ハフッ。』
ゆか「もーっ、最高!」
かすみ「はー、無事生還。」
セイヤ「これはすごい!」
ゆか「おいっ、けんたっ!」
けんた「い、いやっ、たいした事ないや。」
ゆか「白目むいてたやつがよく言うよっ!」
けんた「ま、まさかっ!」
セイヤ「お腹すいたね。」
ゆか「ランチターイム!」
かすみ「けんたさん大丈夫?」
けんた「あっ、全然平気。」
セイヤ「あのレストラン行きますか?」
ゆか「賛成!」
結構はしゃいだ4人。
まだ半日あるわけで。
セイヤ「いやー、美味しかった。」
かすみ「うん。」
ゆか「もー食べれないっ!」
けんた「お腹いっぱいです。」
ゆか「ちょっと、後で出さないでね〜。」
けんた「またっ、ゆかさんったら。」
ブーッ ブーッ ブーッ
セイヤ「あっ、ちょっと電話してきます。」
かすみ「はーい。」
ゆか「んっ、んーん。」
ボコッ
けんた「痛っ!」
けんた「…!?」
けんた「あっ、僕トイレに。」
かすみ「うん。私達待ってますね。」
ゆか「けんたっ、漏らすぞ、急げっ!」
けんた「はいっ!」
セイヤは建物の外に走って行った。
けんたはトイレに行くと言って、さりげなく尾行。
ゆかに足を蹴られて気がついたのだ。
セイヤはなぜか?建物の横へ。
セイヤ「ごめんっ、今仕事でさっ。」
セイヤ「夜には電話するからっ、そんな、浮気なんかしてないよっ。」
…浮気??
セイヤ「ああ、わかってる。近いうち必ず行くから。愛してるよっ!」
…愛してる!?
セイヤ「それじゃあ切るよ。」
…まずいっ、トイレにっ。
さりげなくトイレに駆け込むけんた。
聞いてしまったのだ。
やはりあの日見たのはセイヤに違いない。
とにかく怪しまれないよう戻る。
セイヤ「あっ、けんたくん来たことだし行きましょうか?」
かすみ「うん。」
ゆか「次は〜。」
午後からもあれやこれや沢山乗って。
満喫した4人。
そろそろ夕方近くなった頃。
セイヤ「最後に観覧車のらない?」
ゆか「そ、そーねっ。」
かすみ「私高いとこ…。」
セイヤ「大丈夫、大丈夫。」
ゆか「じゃー、観覧車二回目行くぞっ!」
けんた「はいっ!」
セイヤ「じゃー、かすみちゃん。」
ゆか「ほら、行くよっ、けんたっ!」
けんた「はいっ!!」
観覧車はセイヤとかすみ、ゆかとけんたに別れて乗る事に。
セイヤ「あの2人仲いいね。」
かすみ「うん。ホント。」
けんた「さっきの電話…」
ゆか「あっ、うんうん。」
けんた「やっぱりセイヤさん他に付き合ってる人いると思う。」
ゆか「会話の内容は?」
けんた「聞く?」
ゆか「聞くって??」
けんた「なんかあったらと思って、昼に携帯のボイスレコーダーアプリ、ダウンロードしておいたんだ。」
ゆか「おー!けんたちゃんっ!天才!」
けんた「いくよ。」
けんたのナイスプレーで音声で聞く事に。
会話は鮮明に録音されていたのだ。
ゆか「あんのヤロー!観覧車降りたら絶対にぶっ飛ばすっ!」
けんた「待って。今日はやめよう。」
ゆか「なんでっ!」
けんた「理由は2つ。」
ゆか「なにっ?」
けんた「もう少し調べてみない?なんでかすみさんに寄ってきたのか。」
ゆか「それは美人、だからよっ!」
けんた「そうかな?だって散歩中に出会ってるんだよ。その時のかすみさんって。」
ゆか「あっ!!すっぴんだっ。」
けんた「そんな女ったらしが、すっぴんの女性に寄ってくるかなー?」
ゆか「そっか。んで、もう一つは?」
けんた「今セイヤさんに言って、セイヤさん目の前からいなくなったら…」
ゆか「あんなやつ、いなくなったって…」
ゆか「…!?」
けんた「帰れない。」
ゆか「そーだった〜。」
けんた「今は何も知らないフリ。帰ってもまだかすみさんには内緒で。」
ゆか「うん。わかった。」
セイヤ「おかえりー。」
ゆか「…ただいまっ!」
けんた「いやー、楽しかった。」
かすみ「はー、やっと地上だ。」
楽しかった遊園地ともお別れ。
なんか色々あったが。
行きより帰り道は早く感じた。
セイヤ「じゃあ、ここでいいの?」
かすみ「はい。三人共歩いてすぐだし。」
ゆか「ありがとうございました。」
けんた「ありがとうございました。」
かすみ「それじゃ、また。」
セイヤ「それじゃまたっ!」
三人で歩く帰り道。
かすみとゆかは近くに住んでるが。
ゆか「けんたくん家は?」
けんた「あ、あのアパート。」
ゆか「うっそー、私のアパートじゃん。」
けんた「あっ!そーなんですか?」
かすみ「ホント偶然。私達みんな近くね。」
ゆか「もしかして二階の奥から2番目の部屋とか言う?」
けんた「なぜ?部屋まで?」
ゆか「時々吠えてるのってコタロー?」
けんた「すいませ〜ん。」
ゆか「なにー、隣じゃないっ!」
けんた「あ、よろしくお願いします。」
ゆか「引越しの挨拶の時、いつまでも会えないからポストにタオルとメモ入れたの覚えてるー?」
けんた「あっ、はいっ!まさかゆかさんが隣だったとは。」
かすみ「すごい偶然ねー。」
ゆか「のぞいたりしないでねっ!」
けんた「そもそもできませんよっ!」
ゆか「あっ、そっか。」
かすみ「今日は楽しかった。それじゃー、またねっ。二人とも。」
ゆか「ちょっと〜、セットにしないでくれませんかー!」
けんた「ちょっと、かすみさんっ!」
かすみ「冗談!じゃあねー。」
ゆか「あのさっ、」
けんた「はいっ。」
ゆか「この後作戦会議やらない?」
けんた「はい。」
ゆか「じゃー、私の部屋で!」
けんた「コタローのトイレ片付けてから行きますね。」
ゆか「襲ったりしないでよー!」
けんた「しませんよっ!!」
遊園地から急展開。
セイヤがかすみに寄ってきた本当の理由とはなにか。
そのカギはあの二人のどちらかが握っているのだった。
第11話に続く
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