第5話 『報告・執筆・そして――』
エリシア・クリアティア。
コルトニア学園特殊技能科所属、ライルと同じ齢十七の自称美少女。
自称ではあるものの、実際学園の中でも抜きん出た美女として知られる。
しかし、彼女の所作および性格などに少々難があるため折角の容姿が勿体ないと一部界隈では評価されている。
いわゆる残念美少女。
特殊技能科に属する彼女は神に選ばれ、この世に生を受けたことへの祝福として授かる「
エリシアが有する力の名、それは「相手の心を読む能力」。
対象となる人物一人に対し、相手が考えていること、悩んでいること、喜んでいること等あらゆる心情を読むことが可能な読心能力。
今回ライルに依頼した事案も、エリシアが一人中庭で頭を抱えていた少年――テルの心を読んだことから起因する。
そんなエリシアは、幼少の頃からライルを知っている幼馴染でもある。
おてんば娘だったエリシアの言動には、小さいながらも落ち着いていたライルはよく手を焼いていた。
ライルはエリシアのことをよく知っている。そしてそれはエリシアも同じ。
だから彼女は知っているのだ。
ライルが普通科に通う平々凡々な学園生であるはずなのに、神からの贈答力(ギフト)を身に宿していることも――。
コルトニア学園東棟。その六階中央部に位置する明かりの灯る教室で、男女仲睦まじそうに話す声が人気のない廊下にまで響いていた。
その声の主は、プラチナブロンドのような薄い色をした白金髪の美少女――エリシア。そして中性的な顔つき、赤いパーカーに制服のジャケットを羽織った黒髪の少年――ライル・・・ではない。
黒く艷やかな毛を身に纏い、モフモフと形容するのが相応しい太く立派な尻尾を備えた一人称ボクっ子の小動物――クロがエリシアの膝の上で丸まり、仲睦まじく談笑している。
ライルとエリシアは座卓を囲んでの夕食を食べている最中。だが、エリシアはクロとの会話が楽しいのか、中々食が進まない。
そんな一人と一匹を対面に座っているライルは、エリシアの手作り料理を口に入れ、咀嚼をしながらその光景を眺めていた。
「クーローちゃん、膝の上でおねんねしちゃ駄目でしょ?」
エリシアは右手に持っていた箸を器の上に置き、空いていた左手でクロの耳の付け根を優しく撫でる。
言葉だけであれば、エリシアは膝の上に丸まって座るクロを鬱陶しく思い、離れるよう促している風に見て取れる。。
しかし、現状エリシアは目尻の下がった腑抜けた顔を見せ、赤ん坊をあやす様な優しい声でクロの耳の付け根をいじっている。
クロはエリシアの慣れた手付きに対し、気持ちよさそうに目を閉じ、喉を鳴らす。
「ごめんねエリィ。君の膝の上があまりにも気持ちよくてね。いくらでもボクをナデナデしちゃっていいからさ、許しておくれ。ね?」
「んもぅ、クロったら〜。それじゃ、隠してた右手も使っちゃおっかな〜?」
親指から小指にかけ、連続して波を打つような手付きを見せるエリシアの右手は、クロの尻尾を目掛けて近づく。
そして目的地に到着した手は、クロの尻尾の付け根を優しく握り、先端にかけて包み込みながらゆっくり撫でていく。
耳をピンと立て、両耳を器用に震わせながら、
「おぉっと、これはこれは。いい、いいよエリィ。キミは中々どうしてボクの気持ちいいポイントを把握しているのかな」
クロは好きな所をピンポイントに攻めてくるエリシアに、賞賛の言葉をかける。
そんな言葉に気を良くしたのか、彼女は耳の付け根を撫でていた左手をクロの左足に場所を移して、
「そ・れ・は・ね、クロちゃんのことが大大だーい好きだからよ」
と綺麗なピンク色の肉球を触りながら、甘えるような声をクロの耳元で囁く。
食事のことをすっかり忘れ、自分たちの世界に入ったエリシアとクロ。
蚊帳の外にされているライルは、
「どうしてこうなった・・・」
と一人と一匹にはまるで聞こえないように、そっと呟く。
事の発端は食卓を囲む少し前まで遡る。
エリシアからの依頼を見事達成したライルは、その一部始終を報告するために彼女が放課後に居座る”文芸部(仮)室”を訪れる。
エリシアは文芸部の部長。
――と言えば聞こえは良いが、実際には部員は彼女一人だけであり、文芸部(仮)は正式な部活動として認められていない。
本来であれば部室も割り当てられない筈なのだが、彼女の涙ながらの懇願に折れた教員が殆ど誰も近寄らない東棟の六階、その中でも蜘蛛の巣が張られているほど薄汚れた教室を部室として使用することを特別に許可した。
そのため、エリシアの所属する部活動名は文芸部(仮)なのである。因みに現在も絶賛部員募集中である。
道中お腹を空かせていたライルはエリシアの決め台詞後、いよいよ我慢ならず場の空気を壊すかのように腹を鳴らしてしまう。
折角だからとエリシアが作った夕食を一緒に食べようと誘われ、ライルは好意に甘えることにした。
「それじゃ、作っておいたもの温めるから。ライルは食器やお箸の準備、よろしくね」
エリシアは予め作り置きしていた夕食を温める準備に取り掛かり始める。
その時ライルの後方から、
「おやおや?ボクのこと忘れちゃったのかな、エリィ?」
とゆったりと落ち着いた、だけどどこかいたずらっぽさを含んだ高めの声音が発せられる。
その声を耳にした瞬間、エリシアは背筋をピンと伸ばし、
「キャーー!クロちゃん!忘れてなんかないよ。私、ずっとずーっと待ってたんだから!」
ライルの後ろに隠れていたクロを見つけたエリシアは、待ってましたと言わんばかりの興奮した声を出す。
クロの元に近づき、膝を曲げてクロを優しく抱えたエリシア。
その目は待ち望んでいたことがやっと叶ったかのように輝かせ、優しく包み込むようにクロをギュッと抱きしめる。
「あぁ、ふわっふわでモコモコしてて気持ちいい・・・。幸せ・・・」
「ボクもエリィに会いたかったよ。思う存分ナデナデしてくれたら嬉しいな」
「勿論よ!ほら、サワサワ〜、サワワ〜」
エリシアは慣れた手付きでクロの頭を優しく撫でる。
本来、人間はクロの存在を認識することができない。
クロが意図して自身の姿が見えぬよう結界を張っているからだが、それはエリシアも例外ではない。
だが、ライルとエリシアは旧知の仲。クロも昔からエリシア・クリアティアという人物のことを知っている。
――信頼。
クロにとってその二文字は何より大切なことであり、対するエリシア評は信頼に足るものである。
そのため、例外として彼女には姿が見えるよう施している。
そんな一人と一匹を横目で見ながら夕食の準備を手伝っていたライルだったが、
「おーい、そろそろ飯にしようぜ。じゃなきゃ活動限界で動けなくなっちまう・・・」
と冗談交じりに間に入り、エリシアに夕食の準備を進めるよう促す。
「そ、そうね。ごめんねクロ。また後でいっぱいナデナデしてあげるね?」
「しょうがないな。わかった、また後でよろしく頼むよ」
エリシアは両腕で抱きかかえていたクロを地面にそっと下ろす。
クロは抱かれた心地よさから離れることに少々寂しさを覚えながらもエリシアの両腕から飛び降り、ライルの元へ駆け寄る。
「さて、と。おまたせ、ライル。ある程度準備してくれたから、後は座って待っててね」
エリシアは再び準備に戻ると、作り置きしていた惣菜を取りに台所へ向かう。
温められた料理はその食材、調味料が持つ特有の香りを醸し出し、今にも空腹で倒れそうなライルに追い打ちをかける。
ライルが準備した食器に惣菜を盛り、先に座って待っている彼の前に配膳、そして自身が座る場所にも配膳していく。
最後にエリシアはホカホカに炊けた白米をよそい、ライルに「はい」と手渡しする。
それを受け取ったライルは空腹時の白米は、どうして宝石のように美しく見えるのだろうか、と思いながらえリシアの準備が終わるのをひたすらに待っていた。
配膳を一通り済ませたエリシアは、ライルと対面になって座る。
それぞれ目配せで準備が完了したことを確認し、両者手を合わせて、
「いただきます」
と合掌。
その後はエリシアの手料理の感想を述べながら談笑していたのだが、クロが彼女の膝の上を独占するようになってから話も食事も止まってしまった。
一人と一匹の世界は止まることを知らず、今なお加速するばかり。
この辺で本題に移らなくては帰る時間が更に遅くなってしまう。
そう懸念したライルは持っていた箸を器の上に置き、周りの注意を一身に受けるよう手を叩いてから、
「エリィ、そろそろ本題に入ろう。俺が一通り話するからさ」
と中々入ることのできなかった話題に進むようエリシアに提案する。
「ほら、クロもこっちにおいで。エリィの邪魔になっているだろ?」
彼女の膝の上でくつろいでいるクロを手招きするライル。
クロは嫌々そうな顔を見せながらも、
「わかったよ。確かにそろそろ報告しなくちゃね。じゃなきゃ、ライルの帰る時間がどんどん遅くなっちゃうもんね」
といたずらっぽい笑みでライルの頼みに応じる。
「私はもっとクロと遊んでいたかったけどなぁ」
エリシアは離れていくクロを見ながら、物足りなそうに声のトーンを落とす。
そんなエリシアの様子を見たライルは、残念がっている彼女を気遣うように、
「そうは言っても、折角作ってくれた料理が冷めてしまったら嫌だろ?」
「・・・そうね。よし、食べながら話聞いちゃお!」
エリシアは気持ちを切り替え、今回の本題――依頼の報告に入る。
「じゃあライル。今回の内容をわかりやすく教えて頂戴。なるべくイメージしやすいようにね!」
彼女の趣味は執筆活動。要するに小説を書くこと。
幼年期のエリシアは母親に本を読んでもらおうと、自宅の書斎を物色していた。
生まれて初めて入った書斎。何十個と置かれた本棚。自身の背丈の何倍もある棚に隙間なく詰められた無数の本。
それらを見た彼女は、今までに無い不思議な感動を覚えていた。
だが、背伸びをしてやっと届く三段目以下で本を選ばくてはならない。
エリシアは一段目、二段目、三段目と順々に見ながら興味のそそる本を探す。
物色を始めて十数分経った頃、一段目に置かれていた書籍に目が止まった。
自身の体半分くらいの大きさの書物。最初は周りと比べて大きな本という理由で目に付いただけだったが、何故か興味がかき立てられていた。
大きさだけに本を出すだけでも重労働に感じたが、やっと引きずり出した書物を一ページずつめくるごとに、その苦労は徐々に薄れていった。
至るところに張られた伏線。個々のキャラが立つほど綿密に練られた設定。そして重厚なストーリーにエリシアは感銘を受けた。
それは幼少の彼女にとって、自身の人生を変えるほど大きな衝撃であった。
以降、エリシアは自分が思い描いた世界、キャラクターを文字で表現し、様々な人に読んでもらいたいと思うようになる。
自身が受けた衝撃のように、他の誰かにとって忘れることのできない思い出に残る物語を作りたい。そう目標を立て、数年ほど執筆活動を続けている。
そんなエリシアは、幼少期から面識のあるライルに時折ストーリー作りを手伝ってもらうようになっていった。
それが月日が経って、今では依頼という形で出来事の一部始終を直接報告してもらい、それを元に小説を執筆している。
「――で、一度はダメかと思っていたんだけど、彼の熱い想いが届いたんだろうね。『今度の休み、一緒に遊ばない?』って。それを聞いた彼は大喜びでその提案を受けたんだ。正直、告白って点だけを見たら成功なのか失敗なのか難しいところだけど、俺は次に繋げることができたから成功かなって思う。・・・はい以上、報告しゅーりょー」
本来の目的であった依頼の報告を済ませたライルは両手を挙げ、そのまま後ろに倒れる。
食事をしながらも真剣な眼差して話を聞いていたエリシアは、ライルの話が終わるタイミングを見計らって空いた器を重ね始めた。
二人の間に暫く沈黙が流れる。
これは気まずさから来る沈黙では決して無い。
エリシアが自身の頭で状況を再現し、その中で小説に使えそうな部分を掻い摘みながらストーリーを練っているからこその沈黙。
幾度とこの沈黙を経験したライルでさえ、今でもどこかムズムズする感覚を覚える。
目を閉じたエリシアは、こめかみ部分に人差し指をグリグリ抑え、小声で何かを呟きながら自身の頭の中を整理していく。
一声かけようかと考えもするが、エリシアの真剣に考える姿勢を見るとその気も失せてしまう。
そんな若干の居心地の悪さを感じていたライルだったが、
「うん、よし。オッケー!これで行っちゃおう」
と沈黙を切り裂くように言葉を発したエリシアは咄嗟に立ち上がる。
そして自身の机の上に置いてあった紙と羽根ペンを手に取り、立ったまま執筆に入った。
「どうやら、まとまったみたいだね」
ライルの横に鎮座していたクロは、エリシアの筆を進める姿を見て一安心したのだろう。つかえていた緊迫に似たものがスッと口から出ていったかのようにクロは胸をなでおろす。
「そうみたいだな。さて、夕飯ごちそうになったし、代わりに食器でも洗おうかね」
自身が使った食器を重ね、ライルはその場から腰を上げる。そして重なったエリシアの食器も持って炊事場へと移動する。
「そうそう。ライル、今日もあの変身したの?」
泡立ったスポンジで食器を洗っていたライルを見て、いつの間にか椅子に座って作業していたエリシアは質問を投げかける。
ライルは食器洗いを続けたまま、
「したよ。
とクロに視線を送ろうとするが、クロは丸まったまま自分の体に顔を埋めていた。
「あの見慣れない衣装と、その・・・お面ってやつ?毎度毎度準備するの大変じゃないの?」
「あれはいつもクロが着けてくれるんだよ。不思議な力が俺の体を纏ってさ、気がついたら服が変わってるってわけ。ついでにお面もね。一体どんな魔法を使ってるのか、何度かクロに聞いてみたことがあるんだけど、いつもしらを切るんだよね」
ずっと生活を共にしているライルですら、クロの知らない部分は多い。
正体がバレないよう身を隠すよう指示した理由も、クロがなぜ自身の姿を見せたがらないのかも。
だが、ライル自身今となっては何一つとして気にすることも無くなっていた。
「うーん、その部分がすごーく気になるけど、私が聞いても誤魔化されちゃうかもしれないわね」
「そうそう。エリィは気にしなくて良いんだよ。・・・まぁ、変装のおかげで周囲の目を気にすること無く
食器洗いを終えたライルは、濡らした台拭きを持って使った座卓を拭いていく。
「ほんと、そのサルベラーって名前、どうにかならなかったの?『サルベラー=引き上げる者』って意味もよくわからないし」
「おいおいおいおい。
ライルは台拭きを持ったままエリシアと目を合わせ、
「ゾルティアに”ヒューペルボリア図書館”ってあるだろ?たまたま王国が所有する古文書や古絵文書を見る機会があったんだよ」
と自身の思い出を振り返るように語り始める。
「その時、ライルはボクに内緒で図書館行ったもんね。ボクを置いてさ。一言声を掛けてほしかったな」
いつの間にか起きていたクロは、ライルが黙って図書館に行った過去に対してチクリ。
「あ、あの時は悪かったって。そんな根に持たなくたっていいじゃんか・・・」
語りの邪魔をされたライルは、話を戻そうと一度咳払いをする。
「こんな機会、滅多に無いから心ゆくまで色んな本を漁ってみたんだよ。だけど俺、古代文字なんてサッパリだからさ、読んだところで何書いてるか全くわからなかった。『うーん、何て書いてあるんだろう』って悩んでいたら、偶然近くを通りかかった男の人に話しかけられたんだ。『古文書、好きなのか』って」
エリシアは片肘をついて話を聞いている。
彼にとって、インパクトのある出来事だったのだろう。エリシアの目に映るライルは活き活きと楽しそうに語っている。
そんな姿を見るエリシアもまた、微笑みを見せていた。
「『特別好きって訳じゃないけど、興味があって読んでました』って答えたら、俺の読んでいた本を手に取って翻訳し始めたんだよ。その人、古代関係を少し
ライルは当時見た男の姿を思い起こし、
「かっこ良かったなぁ。聞くもの見せるもの全てを翻訳して教えてくれるんだ。生き字引って正にこの人のことを言うんだなって思ったよ」
目を輝かせながら、男の凄さをエリシアに訴えかける。
「で、古文書の中に”salvage”って言葉があって。”サルベージ”って読むんだけど、翻訳すると”引き上げる”って意味らしいんだ。ほら、俺の
終盤早口気味になったライルは一通り語り尽くし、エリシアの反応を待つ。
だが、期待していた反応とは裏腹に、エリシアは微妙な顔を見せ、
「うーん、納得・・・はしてないけど、その言葉、すっごく気に入っているんだなってことはわかったかな。でも、造語作るならもう少しカッコいい名前にしてあげれば良かったのにね」
「うっせー。とにかく俺は
親指を突き立て、エリシアに見せる。
これ以上は話が泥沼化しそうだと予感したエリシアは「はいはい」と軽く受け流す。
ふと、ライルは教室にある掛け時計を見る。
エリシアの元を訪れて既に二時間と少し経過していた。
「おっと、もうこんな時間か。・・・じゃ、ここら辺でそろそろ帰りましょっかね。エリィ。晩ごはん、ごちそさま。うまかったよ」
「またボクをナデナデしてね、エリィ」
「ちょちょ、ちょっと待ちなさいよ!私も区切りつけて帰るから!折角なら一緒に帰ろうよ〜」
筆を進めていたエリシアだったが、帰ろうとするライル達を引き止める。
「わかったよ。待ってやるから、区切りの良いところまで書いちゃいな」
早く帰路につきたいライルも、一人の少女にお願いされては断れない。
エリシアは一言「ありがと」と言い、更にスピードを上げて作業を進める。
二分ほど経過した頃、
「よし、今日はここまで」
区切りがついたのか、エリシアは筆を置いて帰りの準備に取り掛かり始めた。
そして準備が終わりライルの元に歩みを進め始めた時、何かを思い出したように、
「あ、そうそう。ライル、早速次の依頼があるんだけど、受けてもらえる?」
「おう、いいぜ」
「いつもありがとう。助かるわ〜。えーっとね、次の相手は・・・内気で内向的な、大人しい女の子よ」
「ん?エリィのことか?」
「うっさいわね。てか、まだ覚えてたのね」
自身の調査結果を元に変装したエリシアの姿を思い出し、ニヤニヤしながら彼女を見ていたライル。
彼女は吐息を洩らし、話を戻す。
「ライルと同じクラスの子で、名前はサナ・メルロンド。もちろん知ってるわよね?」
「知ってる知ってる。・・・そして、なんとなくだけど依頼内容も想像できた」
彼女――サナという人物を知っている者なら抱えている悩みはおおよそ検討がつく。
そして、それが脳裏をよぎった時、ライルは心の中でこう呟いたのであった。
――これはまた、厄介なことになりそうだな
と。
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