第2話 魔術研究学園都市
8年前、とある
天空に聳える城。
誰かが『
そして、日本は首都を移転し、体制を整え、自衛隊による反撃を試みるその時には、楽園はどこかへ消えていた。
残ったのは、瓦礫の山と崩れ去った電波搭。そして、あちこちで未だに上がり続ける煙。
死傷者達は5000人を超え、ただあまりにも大きな悲しみだけが残った。
だが数日後。
突如として現れた
その男は、
「楽園から降ってきた魔獣の捕獲・解析に成功した」
と言い放つと、新しい技術『魔術』の情報を発表した。
誰も彼もが疑ったが、彼が振るう奇蹟の前にはあらゆる反証は不可能だった。
何故ならその技術は、既存の全ての技術を一段階飛躍させるものだったからだ。
建築術は、まるでゲームで家を作るかのように。
電磁技術は、誰もが夢見ていたSF映画のように。
医療技術は、どんな病も治せるように。
彼は1ヶ月で東京を復興させてみせると宣言した。
そして、誰もが彼を疑わなかった。
しかし、東京を日本の首都として復興させるには、一度関西に移したものをもう一度戻さなければならなかった。
国の人間が頭を悩ませている時、彼はとんでもない解決策を提示した。
『この東京を魔術を研究する研究学園都市にしてはいかがでしょう?』
彼の提案は通り、そして東京は『魔術研究学園都市』となった。
学園都市と言うからには、学生も勿論在籍している。
彼らは研究された魔術を学び、新たなデータを提供するという条件で入学を許可されている。
故に、基本的には都市外での魔術の使用は禁止され、都市から出るのには、国を渡るよりも厳重な審査とその許可が必要になる。
彼らが学んでいるのは、全ての技術を覆すものだから当然といえば当然である。
更に、都市内であっても授業や正当防衛、あるいは許可が下りた魔術以外は使用を禁止されている。
これも勿論、犯罪を防ぐためだ。
しかし、自分に余りある術を与えられ、放し飼いされている獣は、他を害するというのが常というものだ。
これまでに一万数千件、魔術による犯罪が起きている。
その中には、死傷者を出す忌まわしき事件も多く、これに対して、理事会が出した条例は「風紀委員会の設置」だった。
風紀委員は、本来であれば学園都市に多くある学校の中でも自分達の学校内あるいは、学区内の生徒の違反行為を取り締まるだけだったのだが、魔術を学んでいない警察では、魔術犯罪に太刀打ちが出来なかった。
そこで、魔術を学び、十分に才有りと判断された者が風紀委員として、自分達の学区内の魔術犯罪事件を解決に当たることになったのだ。
しかし、彼らの努力は空しいと言える。
手遅れだとも。
既に、この都市は魔術犯罪の毒に犯されているのだから・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます