第19話-アメフラシ-
雨男、って言われる奴いるだろ?
それみたいな妖怪がいるんだよ。
まあそこそこ有名かもな?アメフラシって。
まあちょっとアレな話があってさ。
日本って、まあ水道が無いくらいの昔はさ。
干ばつ、みたいな?ちょっと雨が降らないと水が無くなっちゃうってのが、地域によってはあったんだってさ。
そういう村の人は溜池を作ったり、まあいろいろ工夫して水不足にならないようにしてたんだよ。
で、ある時ある村で。
凄いラッキーなことにさっきのアメフラシを捕まえたんだよ。
そして牢屋に閉じ込めちゃった。
アメフラシは子供みたいな姿って話もあるけど。
この村のもそうだったら完全に、やばい絵面だよな。
まあ、しばらくはそれで水に困らなかったんだ。
さすがのアメフラシでも、常に雨を降らせられるわけじゃないから、いい感じに水に困らないくらいの雨が安定して降るようになった。
当然、村人は喜んだ。
で、アメフラシを神様みたいに祀ったんだけど。
アメフラシからしたら不本意な形で捕まえられてることには違いないだろ?
実際、お社を作って祀りながら、より逃げられないように牢屋を強化してたっぽいんだよ。
まあ悪いことはできないよな。
捕まって四年くらいたったある日。
アメフラシは、お参りに来た子供に声をかけて、上手く利用してさっさと逃げちまった。
当然、それからは村に雨が降らなくなってその年のうちに村は全滅しちまった。
しかもその年は丁度数年に一回の大干害で、それから数年間は一度も雨が降らずに、周囲は砂漠みたいになったらしい。
もしかしたら、無理やり雨を降らせてた反動だったのかもな。
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