第9話-殺人鬼-

 この近所であった話らしいんだけどな。

 ほら、窓から見えるだろ、あそこの家。


 あの家、昔強盗が入ったんだよ。

 一家が全員殺されてさ。

 事件が発覚したときには大騒ぎになったんだよ!!


 とはいえ、十年以上も前のことだから俺も小学生で、うろ覚えなんだけどな。

 その事件の発覚のしかたってのが恐ろしいんだよ。

 犯人はさ、しばらくあの家の中で生活してたんだって。

 いや、ほんと。


 電気がついてるのに、最近あそこの人見ないねって徐々に近所で噂になってさ。

 子どもも学校に来ないし。

 家に電話しても誰も出ない。


 でも夜になったら電気はつくし、物音が聞こえる。

 ガスも水道もメーターが回ってる。

 明らかに中に人がいるのにインターホンを押しても誰も出ない。


 これはさすがにおかしいってことで通報されて、発覚したんだってさ。

 警察が家に突っ込んできて犯人は自殺!

 当時は大人たちが何を騒いでるのかわからなかったけど、高校に入ってから改めてその話聞いた時はゾクッとしたね。


 で、殺人事件があった家だからさ。

 その後購入する人もいないし。

 でも不思議と取り壊されもせずにあのまま残ってるんだ。


 ああいう廃墟って肝試しとかで子供が遊んだりするんだけどな。

 あそこはマジでヤバいって誰も近づかないんだ。


 ん?ああ、今も誰も住んでないよ。

 え?ああ、だからヤバいんだよ。

 点くんだよ、事件の三日後くらいからずっと、夜になったら毎晩毎晩。


 電気、通ってないらしいんだけどな。



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