きえないうちに

あ、流れ星

比叡山の

端におちてしまう。


ねえ、何を

言いかけてやめた。


もう隣には誰もいない。

またくらい空を見ると

無数の星が降るような瞬きを繰り返す。


おうちに帰ろう、

隣で

チロが私にそうつぶやいた。


ごめんよ。

チロはまだ子犬で少し怖がりさんだったね。

おやつを一個手のひらに乗せる。


チロは私を見上げて言う、

ねえ早く帰ろう。


そうか、もう随分前にチロは

おばあちゃんのところに行ったんだね。


私は一人、

いつもすべてを胸に詰め込んで

暗闇を歩く。


あなたは私の光だった。


流れ星がいくら降り注いでも

もう、何も願わない。

だって、チロもあなたも戻らないってこと

分かっているから。

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