第6話 生まれ変わり特典
「特典の話をするに当たってまず、謝らなければならないのがお主の不幸が取り切れず幸運にすることができないことじゃ」
「どういうことですか?」
神様が謝ってくるが、さっきまでと話が違うので少しきつめに聞き返してしまったかもしれない。
しかし、生まれ変わる前の今はまだ俺の不幸体質は取れないが、生まれ変われば不幸から開放されるという話だったはずだ。
それなのに不幸体質から開放されないとはどういうことだろうか?
「それがの生まれ変わり先が魔王というのが悪さをしておって幸運を与えられんのじゃよ」
詳しく聞くと、人間から魔王に生まれ変わるのは初めての事らしく、生まれ変わる前の種族に敵対する場合、特典に制限がかかるとの事。
そのため、俺に幸運を与えることが制限に引っかかったというのだ。
「じゃが安心してもらいたいのが不幸といっても一般的な不幸の範疇におさまるようには手を加えたので今生みたいの不幸で命を落とすことはないじゃろう」
生まれ変わった先の不幸は不幸でも特別な不幸ではなく一般的な不幸だという。
まあ今よりかはマシになる程度と思っておこう。
「それでお主の特典として考えておるのが、とりあえずは初期能力の上昇とDP消費の緩和じゃ」
「はあ」
魔王に生まれ変わることによる弊害により生まれ変わり特典が今までのようなものを与えることは難しいのだという。
しかし、不幸が取りきれない分の補填もしなければならないため俺自身へだけ特典を与えるのではなくダンジョンマスターの能力であるダンジョン管理の方にも調整を入れることで帳尻を合わせるんだとか。
まず、俺自身の初期能力の上昇させてくれるという。
上昇量は生まれ変わった直後のレベル1の能力がその他のレベル1魔王の大体3体分ぐらいになるらしい(運を除く)。
それに基本属性魔法の初級本セットをくれる。
このあたりは今までにも与えてきた特典でもあるという、そして次からがダンジョンへの調整である。
次の特典がDPの消費の緩和だ。
具体的にはDPによってできる事にガチャというものがあり、これが1日1回DP消費無しで行える。
本来ガチャは消費したDPに合わせて排出される物がある程度決まってくるらしいが、無料にする分排出されるものが完全に運任せになるらしい。
しかし、俺は生まれ変わった先でも不幸体質になることが確定しているため、これだけでは特典として不十分だと思われる。
そのためガチャを排出カテゴリー別に分けて、初回は必ず珍しいものが出るように調整するという。
「大丈夫なんですか? 大分良くしてくれてるみたいですけど」
伝説の武器やらはもらえないが毎日なにかしらが無料でもらえるのだ、長期的に見たら大盤振る舞いではないか?
「大丈夫じゃ、これでもまだ足らんくらいじゃ、他の者には特殊能力や聖剣や王家の後ろ楯や好み通りの嫁やらを与えとる」
そう言って神様は少し考え始めた。
そういえばさっき説明されたな。
お嫁さんがもらえるのは聞いてなかったが、魔王にお嫁さんは無理かな。
「そうじゃ、武具を新しく与えるのはいかんが、お主が持っておる武具に力を与えよう」
「私の持ってる武具ですか?」
俺は武具なんか持ってなかったはずだ。
前世では平和な国に居たためカッターナイフとか工具なんかを持ってると警察に声をかけられる、もちろん武具なんて物を持ってたら警察に問答無用で連れていかれる。
武器などを持ち歩くには免許か許可証がいるんじゃなかったっけか?
「お主の荷物にぶら下がっている、武具の模型を武具として使えるようにしよう
それに本来は生まれ変わる時に前世の物を持ち込んではならんが、今回は特例で許そう。
それでバランスがとれるかの」
武具の模型?
ああ、キーホルダーの事か。
旅行先の旅館や土産屋さんに売ってる剣や盾、銃を模したキーホルダー、ご当地とはほぼ関係無いけれど、男子なら一度は手を出したことがあるだろう物だ。
初めてのお小遣いで買ったホームベース型のカッコいい模様が彫られた盾と両刃剣がセットになっているものと、家族で初めて旅行した時の思い出に買った日本刀型のキーホルダーを鞄に着けていた。
買った当時はカッコいいと思って見えるところに着けていたが、今は思い出の品として見えないところに着けている。
「これは小さな頃に買ったものなので、汚れやキズが酷いですよ? それにおもちゃなのでとても小さいですよ」
そう、これはキーホルダー、いくら武具にして切れたり攻撃を防げても、小さい、ナイフにもならない。
それに小さな頃に買ったものなのでとても古く、汚れやキズが多くはっきり言ってボロっちい。
「そのあたりはきっちりと調整しておくので心配はいらんよ、他の持ち物にも手を加えとくかの」
そう言って神様は手を叩いた。
「だいたい、このような感じで特典をまとめたいのじゃが他に希望はあるかの?」
神様は特典についての説明を終了させて、希望を聞いてきた。
能力面では満足してるし、ダンジョンについても融通してくれた。
武具についても何とかしてくれる。残ってるとしたら
「衣食住についてですかね」
希望というよりは質問に近い、魔王として生まれ変わって生きていくなら大切なことだ。
「住むところはダンジョンじゃ、雨や風に晒されはしないじゃろう、着るものに関しては、お主が着てる服を汚れづらくしておく、抗菌、防臭もバッチリしておくぞい、食べるものはDPで出せるはずじゃ、DPは多めに渡しておくしDPでの交換レートも安くしておくので、暫くはそれで食い繋いでおくれ」
「わかりました」
最低限の衣食住も用意されているみたいだ。
もし贅沢したかったら自力で改善しよう。
「では、生まれ変わらせるかの、最後に魔王はある程度の肉体年齢で生まれるので、赤ん坊に生まれ変わる訳ではない。
その代わり、生まれ変わってすぐは孤独じゃ、わしも助けてやれん」
赤ちゃんから人生スタートじゃないんだ、まあ両親は早くに亡くなって独りには慣れてるつもりだけど、寂しかったら魔物を増やして賑やかにしようかな?
「では目を閉じるんじゃ、意識が遠退いていくとと思うが、次に目を覚ますときには生まれ変わっておる、独りでも頑張るんじゃぞ」
神様はそう言って、俺の頭を撫でる。
「ありがとうございます、自分なりに頑張ってみます」
俺は神様に感謝の言葉を言ったら眠るような感じで意識を失った。
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