021「異世界の自営業-3」
「
指輪から本へと形を変化させページをめくっていく。
ちょいちょい暇を見つけては、検証して
「まず、蒐集された幻想と現実……物語や図鑑などのデータベースとしての機構」
小説、漫画、アニメ、ゲーム、図鑑、エロゲなど、俺が前世から今までに読んだり観たりした物がこの本には詰まっていた。
遠い記憶過ぎて忘れていた作品まであったけど、一体どうやって蒐集したのだろうか?魂が覚えていたとかなのかな??
アニメは映像は流れるが声やBGMはなく字幕オンリー、ゲームはジャンル問わずに自動でひたすら最速最短最効率プレイが流れるというバグなし無音のRTA。
エロゲは声やBGMはないが、選択肢は選べるという謎仕様で………孤児院でプレイ中に後ろから同世代の女の子に覗かれて社会的に死んだかと思ったけど、どうやら俺以外の人は本の中身が何か小難しい内容にしか見えないらしく本気で助かった。
前世でもエロシーンで親が部屋に入って来たことがあったけど、緊急回避に近い機能があるのは本当に助かる。
こそばゆい学園恋愛アドベンチャーなんて懐かしい物を見つけたら夢中になってプレイしちゃうから仕方ない、あとで模倣して和菓子出して食べよう。
「次は………
蒐集された物語を模倣し、贋作を創り出す。
初めて創った贋作と同じ刀を手に取り、演舞のように刀を走らせていく。
普段の俺なら絶対に出来ない速度と技能で何度も刀を振り抜く。
何も考えずに刀をひたすら振っていく。
片手で、両手で、逆手で。
脚を動かして走りながら、地面を蹴り飛ばし宙に身体を飛ばしながらも刀を走らせる。
次第に息が上がって来たのに気付いたので刀を振るペースを意識して落としていく。
ここからは新しい検証っと。
「
模倣し再現するのは風の力を纏わせた刀の贋作、それを先に創り出した贋作に重ねる。
生まれて初めて手を握ってくれた女の子を、命を救ってくれた女の子を護りたいと願い、攫われた彼女を救うために地下世界に飛び込み旅した少年の物語を模倣して、少年の武器であった刀を贋作して重ねていく。
「地下世界に、風よ走れ!」
刀を振り抜きながら模倣と贋作を重ねる、カタカタと暴れようとする刀を抑え込む。
「っ!?」
刀が弾けて本のページが周囲に舞う、はらはらと舞うページに溜め息を吐いて指輪に戻す。
…………ちょっと休憩しよう。
昼ご飯のときに座っていた岩に再び座り鞄から水を取り出して飲む。
「…………やっぱ、結構魔力を使うなぁ」
そんなに長い時間使っていた覚えはないんだけど、全魔力の6割くらいは持ってかれた気がする。
「で、やっぱり原作が異なる物語の贋作を重ねるのは無理っぽいなぁ」
模倣に模倣を重ねるのは何とか出来る、原作が同じ場合でも異なる場合でも設定に矛盾が生まれない範囲でならという条件が付いたからかなり無理だけど。
創り出した贋作に贋作を重ねることは出来ないっぽい。
前回は出典が同じ物語から贋作を二つ重ねようとしたけど出来なかったし、今回は原作は異なるけど同じ刀を贋作にしてみたけど無理だった。
「結局、検証からわかった模倣と贋作の機構ってのは……」
模倣と贋作の使用中は魔力の消費がくっそ激しい、さらに原作通りの能力や特性を忠実に再現しようとするとさらに魔力の消費が増える。
原作が同じでも異なっていても、能力や特性を二つ以上模倣することは可能、ただし原作の設定に矛盾が生まれない場合に限る。
贋作は一度に一つしか創り出すことが出来ない。
原作の能力や特性を改変して使用することは可能、ただし原作の設定に矛盾が生まれない場合に限る。
「これ、二次創作するなら原作の設定に矛盾が生まれないようにしろ。クロスオーバーの二次創作を作る場合でも原作には敬意を払えってことか?」
「あぁ、原作で女の子専用の装備だったり能力も発動出来なかったけど……性転換系の設定が出て来る物語を模倣して俺が女になったら使えるのかな?」
すげぇ魔力使いそうだから、実際やったら一瞬で魔力が枯渇して倒れそうだから要検証かな?
女の子になりたい訳じゃないけど、使い勝手のいい能力や特性が多いんだよなぁ……。
「あとは、ユニークスキルと魔法の同時に使う事が出来ないってことか」
これは、ユニークスキルの使用に魔力と精神力を使い過ぎて魔法まで回せないからだと思うから慣れたらいけるかな?難しそうやな。
魔力量が増えたら増えたで、原作再現に回さる魔力が増えそうだからやっぱり無理かなぁ。
やろうと思えば何でも出来るけど、何もかもが出来る訳じゃないっていうユニークスキル。
切り札にはなるからユニークスキルも使えるように検証して訓練していくのはいいけど、結局は普通に鍛えて強くなっていく方向のが良さそうだな。
「異世界チートみたいに、ユニークスキルに頼りきるってのは無理そうだし………焦らずにやっていくしかないか」
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