第2話授業

入学して少し落ち着いたこの頃。

 キンコーンカンコーン。 

 チャイムの音が聞こえる。次の授業は世界史だ。授業の準備をしていると。

「ねぇ、いつもあの子いつも車の本見てるよね。1-2組の子」

「ねぇ〜。女なのになんでだろうね(笑)」

 1-2か。車が好きな女子。少し変わっている。話がしてみたいが相手にどう思われるのか?散々迷ったあげく…キンコーンカンコーンとチャイムが鳴った。気づけばさっきまで騒いでいた女子も皆席に着いていた。

「えぇ…今回はスパルタについてだ」

「えぇ…つまりだな。スパルタは軍事力を強めるために子どもの頃から厳しい教育、つまりスパルタ教育を行っていた」

 ヨーロッパの歴史は面白い。つい夢中になってしまう。

「〜ということなので覚えておくように」

 やっと聞き慣れたチャイムが鳴る。世界史が終わった。次の授業の準備を済ませると1-2に向かう。あの子はいるのか?

「ねぇ!」

 後ろから突然と宇宙に声をかけられる。

「うぉ!?」

「そんなに驚く?(笑)」

「いきなり声かけるなよ。」

「いいでしょ!それより今日もカフェ行こうよ!」

「大きな声で言う!周りも見てるだろ?」

「駄目?」

 そう可愛く言ってくる。

「いや、そういう訳じゃなくて付き合ってるとか思われたら嫌だろ?」

「そっか、別に私はいいよ?」

 そんな事を言ってくる。

「お前が良くても俺が良くないんだ。」

「なんで〜」

「なんでもだ。俺は用があるんだ。また今度な。カフェなら行くからさ」

「本当!?じゃまた今度!」

 宇宙に絡まれつつも目的の人がいるか探す。見つけた。容姿はロングヘアで子柄だった。そのロングヘアは後ろに束ねられている。眼鏡をかけているのと本を読んでいるせいか大人しい印象を漂わせている。今となって声をかけづらい。

 そして勇気を引き絞り、

「あの、車好きなんですか?」

「え、あ、ハイ」

「好きな理由聞いていい?」

「えぇと、車には歴史があります。人類が造り得た知恵。渋い感じからスリムな感じまで。何もかもが好きなんです」

「そっか、俺も車が好きだからさ。じゃまた今度」

「なんだ、他の女子と話したかったんだ」

と高校生活で一番声を聞いてるだろう声がする。

「宇宙、なんだよ」

 ため息が混じった声で言う。

「いやぁ、冬馬と話したくて。でなんで影月星羅かげつきせいらと話してるん?」

「いや話してるというよりかはいきなり俺から話しかけたからなぁ、まぁ車好きだからだよ」

「そうなんだ!星羅!車が好きなんて初めて知ったよ!」

「うん、誰にも…言ってないから」

「えっと、2人はどういう関係?」

「小学からの仲だよ。そうだ!星羅も今日カフェ行かない!」

「2人で?」

 一人で孤独であった星羅。しかし宇宙は果敢にも話していく。やはり幼馴染という関係は良い。俺も東京から出ていなければ同じ状況をやっていただろう。

「冬馬も一緒だよ」

「男の子もいるの?変な事しない?」

 確かにそうだ。男を連れて行くなんて危なっかしい。

「大丈夫!冬馬はそんなことしないから!私が保証する!」

「そう、ならいいけど…」

「じゃ改めて自己紹介から!この子は…」

「大丈夫。私が自己紹介するから。えぇと…私の名前は影月星羅。車が大好きです」

 若干、恥ずかしそうに自己紹介をする彼女。俺もそれに答える。

「俺の名前は霧島冬馬。車とゲームが好き。宜しく」

それに彼女も答え相槌を打つ。

「カフェに行くけど宇宙は勉強大丈夫なの?」

「勉強?大丈夫だよ!平気!平気!」

「なら、いいけど…」

 そんなやり取りをする。あれ?もしかして宇宙勉強出来ないのか?

「宇宙、勉強出来ない系か?」

「勉強?大丈夫だって!気にしない!」

 本当に大丈夫だろうか?

「もうすぐ次の授業始まるから早く行った方がいいよ」

 時間を見る。すると後1分しかない。

「「やばい!」」

*

*

*

放課後。校門で宇宙、星羅を待つ。宇宙曰く星羅は小学校からの仲らしい。星羅は人間関係を結ぶ事が難しいらしく友達と言える友達が宇宙しかいないらしい。

「おっまたせ〜」

「待たせてしまいましたか、すいません」

 明るく声を結ぶかける宇宙。申し訳なさそうに声をかける星羅。

「じゃ、早速いつものカフェに行くよ!」

 そういい宇宙は自分の腕に腕を組んで来た。

「うおっ!な、なんで腕組んでくるんだよ!」

「いいじゃん!いいじゃん!」

 宇宙は白い歯を見せながら無邪気に言う。悪気はないのだろう。多分…

「2人はそういう…付き合ってる仲なんですか?」

「まさか!」

 慌てて否定する。

「付き合ってないよ。私にも好きな人いるし!」

 宇宙が言う。

「好きな人がいるのですね」

 星羅がそう呟く。ていういつまで腕組んでるんだ!好きな人がいるんだろ!?

「そういえばさ、明日から部活動見学じゃん? どこの部活入るの? 私は水泳部に入るんだけど」

「俺は入らないかな」

「私もです」

 どうやら宇宙は水泳部に入るらしい。

「ならさ、2人とも水泳部入らない!」

「「泳げない(ません)!」」

 星羅と息ぴったりに答える。そう茶番している内にカフェECに着く。

 俺と宇宙は前の頼んだ物を頼み星羅は、

「えぇと、この夜空のスターコーヒーと月のバームクーヘンを下さい」

「お嬢さん達了解したよ」

 店長がそう答える。

*

*

*

 「じゃあね!」

「また明日」

「えぇ、また明日会いましょう」

 それぞれが別れの挨拶をする。ここからは宇宙と一緒に寮へと帰る。

 「冬馬、連絡先交換しよ!」

 「別にいいけど。いきなりどうした?」

 「いいから!私誰にでも仲良くなれるじゃん?だからだよ!」

 そう彼女が言う。連絡先の交換はいいが緊張はする。宇宙はそれを分かっているのだろう…いや分かっていないだろう。

 「あのさ、冬馬。なんで寮生活なの?」

 彼女がそう悪戯ぽく聞いてくる。

 「東京から来たからだよ」

 「なんで東京から?」

「それは…」

 俺は何故東京の高校ではなく神奈川の駒國高校に通うことになったのか。それを話すことになった。

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