15.6話 彼とは関われない

彼の親と話し合った。

彼の親は初めのほうは謝っていたが、途中から怒鳴りあっていた。


彼は申し訳なさそうにこっちを見ている。

何かして欲しいのかな?

分からない、前まで一緒に帰ったり、一緒にデートに行ったりしていたのに分からない。

すぐ側で彼が笑ってくれて、私もつられて笑っちゃって。

そんな日常が壊れて行くのが目に見えて、とても怖い。


私は彼が好きだ

彼とのこの赤ちゃんも産みたい、

今も私のお腹の中で生きているのだから。

でも、私は何も言えなかった。

そんな事を言っても否定されると知っていたから。

それに、私だってそんな事知っているから。

彼とのこの子は諦めるしかないって。


涙が出てきた。

彼と会えなくなることや、赤ちゃんの事、それを諦めるしか出来ないという事を知っているから。



それから1時間後、

お互いの両親と話し合いをし、お腹の子は中絶することと、彼と私はもう関わらないことが決まった。



それから数日が経った。

今日、中絶をする手術を受ける。

病院まではお母さんが連れていってくれた。

お母さんは何も言わなかった。

病院に行き、台の上に座らされる

手術が始まった。


冷たい棒が私の陰部に入るのがわかる。

隣に彼の握る暖かい手が欲しかった。


どうしてこんなに辛いことになっちゃんたんだろう?

楽しかったのに、嬉しかったのに、幸せだったのに。


手術は終わり、帰りの車でお母さんが、

私はね、実は....


少し言いずらそうだった


あなたが彼の事を話す時はいつも楽しそうにしていたの

今日あった出来事とか、彼とどんな話をしたかとか、

私はそんなあなたが大好きで、彼のこともあったことはなかったけど、とても優しそうで、周りの人を生き生きさせることが出来る人だと思うの。

今も彼は優しいと思うし、面白いと思う。

けれども、私はきちんと避妊が出来ない人と付き合いはさせれない。

ごめんね


母の目はくまでいっぱいだった。

きっとずっと悩んできたんだろう。


そんな事をかんがえると私も涙が出てきてしまった。

お母さんが謝るのはおかしいよ

私がきちんと知識をつけておけば、もっと対策をしておけば、


楽しかった日々が、幸せだった日々が

一瞬で壊れてしまった


こんな筈じゃなかったのに
























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