第8話 一生に一度の花開く才能
僕は人生で初めて『ガチャ』を目の当たりにした。
それは眩く光り輝いていた。
世界中に7つある内の1つがこんなところにあるなんて。
感動したよ。
「どうしてここに?」
「元々は城の地下室にしまってあったものじゃ」
ディオ王は島流しにされる前に、このガチャを服の中に隠した。
そして、ここまで持って来ていたのだ。
ガチャについては、孤児院の図書館にあった『ガチャ概論』という本で勉強した。
大きさは手のひらサイズ。
確かに、実物は王様の手のひらに乗るくらいの大きさだった。
円筒形で真ん中にレバーが付いていて、その真下に穴がある。
ここから『スキル』が出てくるのかも……なんて思うと、僕はドキドキした。
「お主に最後の一回を引いて欲しい」
ディオ王は僕の目を真っすぐ見て、そう言ったんだ。
よく見るとレバーの上のところに『1』って書いてある。
『ガチャ概論』によると、この数字は、そのガチャ装置であと何回ガチャが出来るかを表しているらしい。
……てことは、僕が最後の一回を引くってこと!?
「そっ、そんなっ! 僕なんかが引いてヒノキの棒とかが出たらもったいないですよ!」
気の弱い僕は、こんな責任重大な役目はゴメンだ。
『ガチャ概論』によると、運が良ければ良いほど『レアなスキル』が排出される確率が高いらしい。
じゃ、僕には無理だ。
だって、僕は運のパラメータは『0』だよ。
「わしはもう引いたから、このガチャではもう引けないのじゃ」
ディオ王は僕が来る前にこのガチャを引いたそうだ。
『いつでもどこでもお茶を出せるスキル』が出たらしい。
ちなみに『ガチャ概論』によると、一人の人間は一台のガチャ装置で一回しかガチャを引くことが出来ない。
てことは、やっぱ僕が引くってこと!?
「ケンタ、お主に賭けたぞ」
プレッシャーばっかりかけやがって。
だけど、僕が『最強のスキル』を出せるかどうかに、この世界の平和がかかってるんだ。
僕をパーティから追放したメンバーの顔が思い浮かんだよ。
復讐してやりたい。
そしてマリナを助け出すんだ。
だけど、僕はきっとこのガチャで、最弱な装備を引き当てるのだろう。
なぜなら僕には運がないから。
運さえ良ければ、こんな運命にはならなかったんだろうなあ。
「運……」
僕はその時、閃いたんだ。
この先の運命を変えるほどの閃きをね。
「ディオ王様」
「なんじゃ?」
「まず、僕に『ギフト』を与えてくれませんか?」
マリナが5歳の頃の僕に教えてくれた。
「どんなギフトが目覚めるかは神のみぞ知る」
ってね。
僕はまだギフトに目覚めていない。
「分かった」
僕の頭の上にディオ王の右手がかざされた。
「『
その手が光り輝いた。
一生に一度のギフト。
僕は願った。
運が良くなりますようにって。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます