法則が違う

 観葉植物を買っては枯らしてしまう――というより、腐らせてしまう。水のやりすぎ、過保護なのだ。

 ショックを受ける。大事に育てていたのだから、気持ちは凹むものだ。やけっぱちになって、植物を放置することもあり、双極性障害の病状が悪化するなら、植物を育てるのはやめてしまおうかと思った。

 精神安定剤を飲むようになっては、本末転倒である。


 などと、悩んでいると、我が息子――御銫みせねがそばへやってきて言った。彼は植物学者を目指している。


「ガーデニングの先生が言ってた。植物は人と違う法則で生きてるって」


 五歳の子供だから、細かい説明はなかったが、言っている意味はよくわかった。


 私たち人間は枯れると、失敗で、終わりだと思うが、種をこぼす植物の場合、枯れないと種はこぼれない――成功しない。枯れるイコール死ではないのだ。それはおそらく、どの植物にとっても同じ意味なのだろう。だから、枯れたからと言って、落ち込む必要はない、ということだ。


 先生はいいことを言うな。ひどく感心した。


 2020年9月4日、金曜日

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