私が泣く時

 悲しい時にも泣くのだが、ワンワン泣き叫ぶことはしない。一人でひっそりと耐えて、頬に一筋の涙を流す程度で、呼吸が乱れることはない。


 しかし、本を読んだり音楽を聞いたりすると、嗚咽おえつをもらすほど泣くのだ。それはどんな時かといえば、尊い気持ちに出逢った時である。

 素晴らしいものに感動した時。


 例えば、『レ・ミゼラブル』のミリエル司教がジャンバルジャンと約束を交わす時だったり、『論語物語』で、孔子が重い病にかかった伯牛はくぎゅうの元を訪れて、天命だと告げるシーンに弱い。


 この部分を音読をするのだが、一度だってまともに読めたことがない。感動しすぎて、涙が止まらないのだ。

 いつか、読めるようになることを夢見ている。またそこには、綺麗に晴れ渡る空があるのかもしれない。


 2020年8月20日、木曜日

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