早川先輩は雑に学ばない
6MAY
プロローグ
「あっちー」
夏にも入っていないのにうだるような暑さを記録した今年の5月。
ゴールデンウィークも過ぎる頃には学校生活の基盤が纏まりつつあった。
毎朝の支度や登校登下校のルートも確立され、同じクラスには昼ごはんや帰宅中に一緒に連む友達も出来た。
満たされつつある高校生活に魔をさす悪魔の使いはいつも、授業開始のチャイムと共にやってくる。
「それじゃあ。今から小テストやるぞー」
2限目のチャイムが鳴り終えたと同時に、英語の山田先生が我が1年5組に入室してきた。
いつものように出席を取り、いつものように授業が開始されると思った矢先、悪魔の呪文のような先生の一言でクラス全体が地鳴りのように揺れ動くのを感じた。
勉強こそが学生の本分と、のたうちまわる人もいるだろうがこの理不尽な大人への圧力に不満を持つのもまた学生の本分だと理解していただきたい。くそっ!なんで小テストなんてやらないといけないんだ!
とか言いながら出された抜き打ち小テストに取り掛かる俺やクラスメイトも学生としての本分なのだろう。小テストなんてやらねーよ!と反骨精神的な生き方をする人はもう少なくなってきているようだ。
そもそも俺は英語が嫌いなのだ。というよりも勉強全体が嫌いと言っても過言ではない。まぁ、勉強が得意とか好きな奴は勉強ができて楽しいから好きになるし得意になるのだろう。
「好きこそ物の上手なれ」ここに住む住人は俺とは到底住む世界が違うと思っている。
いまさら勉強に熱を上げる気も起きないので、赤点を取らないように勉強はそこそこに青春を謳歌したいというのが俺の信条である。
『あー早く終わんねー』
小テストの問題を一通り終えた俺は時計をチラリと見てうなだれる。時計は11時20分を指していた。
授業が終わるまであと50分。
そんな俺の高校生活を一変させる出来事が昼休みに始まろうとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます