第158話 さてと、ドンドン進んでいきますよ。

前回のあらすじ:まさかの○っくりボイスにびっくりした。



 はい、私達は現在、ダンジョンを探索しております。かれこれ1週間になりますかね。いや、探索自体はいいんですよ、楽しいし。マーブル達もそうですが、戦姫もカムイちゃんも楽しんで探索しておりますがね、何と言いますか、特に改めて書くほどの出来事がないんですよ、ええ。


 第4階層で勲章を手に入れたので、一気に9階層から最深部への直通エレ、じゃなかった、転送装置が使えるようになったので、一応意見を聞いたところ、地図の完成を優先しようということになりましてね。それで、チマチマ1階層ずつ探索をしている次第です。


 で、唯一心配だったのが、第5階層から8階層の地図ですね。この区間って、以前私が馬鹿みたいにやっていた音も素晴らしい上に、処理が超早いと評判のやつと、元祖のやつをそのまま踏襲したものと異なっておりまして、もし、元祖のやつですと、下手するとヤバい状況に陥る可能性もあったんですがね、幸いにも、私にとって馴染みのあった地図でしたので、その後は比較的というか、ぶっちゃけ楽勝でしたよ。


 とはいえ、この辺の魔物達というのは、前回はスルーしてしまったので、ゲームでは見覚えがあっても、実際には初見といってもいいような魔物達でしたからね。折角なので、ひたすら倒しーの、宝箱開けーの、通路の罠解除しーので、ひたすら進んでいった訳ですよ。


 そういえば、魔法禁止区域ってものが存在していたけど、あまり影響はなかった、というのが現実でした。というのも、フロストの町へと来ている冒険者達ならともかく、うちの領民って、魔法使える人少ないんだよね、実際。今現在はゴブリン族のユミールが領民達に魔法を教えているので、魔法を使える人は少しずつ増えてきているようだけど、領民の数自体が少ないため、そんなに数はいない。


 まあ、今の私達のパーティでは、魔法が使えないのは私とカムイちゃんだけで、他のメンバーはみんな使えるけど、魔物の強さが強さなので、別に使えなくても戦闘に支障はきたさなかった。


 また、お宝に関しても、ここいらの階層では、別にお土産にするほどのアイテムが手に入るわけではなかったし、実際、一通り見ていらないと判断して、宝箱に戻してこの場を離れるなんてことも少なくなかった、というより大部分はそうした。


 と、そんなこんなで第9階層までマッピングを済ませてしまったので、後は最下層である第10階層へと足を運ぶことになった。


 確か、第10階層に到着してすぐに、メッセージが表示されたよな、、、。と、いうことは、またあのゆるい声を聞くことになるのか、、、。まあ、個人的には嫌いではないからいいんだけど、あの緊張感を一気に喪失させるゆるさはどうにかならないのか、と、思いながら第10階層へと転送された。


 ということで、地下10階層へと到着。待っていたのはメッセージと、予想通り流れてきましたよ、声が。しかし、これは意外だった。というか、よくこの声を再現できたな! というのが正直な感想だった。


「渋い声ですわね、これは、気を引き締めていかないと、、、。」


 というのは、この声を聞いたアンジェリカさんの感想である。


「前回来たときは、声なんてなかったけど、確かに緊張感が沸いてくるよね。」


 というのは、前回も来ていたカムイちゃんの感想。


 周りが緊張感を持ち出したにもかかわらず、逆にほとんどなかった緊張感がさらになくなり、笑いを堪えるのに必死だったのが約1名。言うまでもなく私である。


「何で、殿○なんだよ!! 絶対に「イクゾー!」とか言うなよ!!」


 と、思わずツッコミを入れてしまうくらいやばかった。考えてみてくれ、ミン○ガバージョンの感じであの長台詞を言っているんだぜ! 「コ○トラ・デクス○ラ・ア○ニュー」で吹き出しそうになったんだぜ!! あの台詞を言ってもらうのに一体いくらかかってるんだよ、、、。ってか、こんなところで再現すな!!


「「「「ア、アイスさん!?」」」」


 もちろん、事情を知らない他のメンバーは驚いたみたいだけど、、、。いや、一応心の準備はしたさ、でもねぇ、正直、結月○かりとか、弦○マキとか、そっちを予測していたよ。まさか、○下とは、、、。


「あぁ、驚かせて済みませんね。個人的な事情です、お気になさらないで下さい。正直知ったところで無意味ですしね。」


 周りのメンバーは不承不承ながら退いてくれた。いや、本当に知ったところで無意味だし、それ以前にこの話をしてもわからないだろうし、、、。


「では、気を取り直して、、、。地下3階のお宝はこの階層が本番です。出てくる魔物も一気に変わりますので気を引き締めていきましょう。」


「・・・気を引き締めなきゃならないのは、アイスさんだけでは、、、。」


 ルカさん、的確且つ鋭いツッコミだけど、それは言わないで、、、。あれさえなければ、私だって。


 ここの階層は一本道なので、迷うことはないけど、いつも通り私が先頭を歩いて案内をする。そして、最初の扉に到着。


「この扉を開けると、魔物がおります。みなさん、戦闘準備はいいですか?」


 全員が頷いたので、扉を蹴り開けると、そこには巨大な悪魔が1体と、これまた別種の巨大な悪魔が5体存在していた。マイルフィックとグレイトデーモンである。


「こ、これは、、、。」


 アンジェリカさんが思わず呟く。


「これが第10階層です。とはいえ、こいつらはこの階層でもかなり強い方なので、こいつらを倒せれば他の魔物は問題なく倒せますよ。それに、戦姫の実力なら問題ないですよ。あのヤバそうなのは私が引き受けます、マーブルとジェミニは1体ずつ、残りをみんなで協力して倒してください。では、戦闘開始!」


 私はマイルフィックに攻撃をするべく、弓に数本矢をつがえ引き絞りながら近づく。ここのマイルフィックは地下6階の同種に比べると、かなり弱い。恐らく分体みたいな存在なのだろう。運良く魔法を詠唱しようとしたので、その隙に矢を放つ。もちろん、近距離で。矢は狙いを違えずに眉間、喉、心臓部にそれぞれ命中して魔石を残してマイルフィックは消滅した。一丁上がり。


 マーブルとジェミニにとっては、グレイトデーモン程度は雑魚でしかなく、ジェミニはアッサリと首を刎ねて終了、マーブルは風魔法でキッチリと首を刎ねて終了、ってか、確かグレイトデーモンって、魔法がほとんど通じない存在だった気が、、、。それを平然と魔法で仕留めるマーブル凄ぇ。


 グレイトデーモン3体は、それぞれ魔法を詠唱するのが2体、仲間を呼ぼうとしたのが1体で、魔法詠唱中にセイラさんが矢を放ち、それが見事に喉に命中して無防備になったところを追い打ちで心臓部めがけて矢を放ち仕留める。カムイちゃんも別の詠唱中の1体に素早く近づいて喉を一突きして一撃で仕留めた。アンジェリカさんとルカさんは、わざと仲間を呼び終えるのを待っていたようで、呼び終わると同時にルカさんが仲間を呼び終えたグレイトデーモン1体を風魔法で包み込んで動きを封じてから、火魔法をそれに放って倒し、アンジェリカさんは、救援で来たグレイトデーモン1体を有無を言わさず、心臓部分を一突きして戦闘終了。流石は戦姫である。そして、カムイちゃんもここの敵をあっさりと倒せるようになっていたのには感心した。


 敵を倒した後はお宝タイムである。今回はカムイちゃんが罠を解除、開けてみると、中には十字型の刃物が1セットと、綺麗に装飾された剣が一振り、後は、どこからどう見ても怪しげな剣が一振り入っていた。


「これは、見事な剣ですね。ただ、過剰に装飾されておりますので、切れ味の方はいかがなものかと思いますが。それと、見るからにヤバそうな剣もありますわね。あと、この十字になっている感じの刃物は一体?」


「おお、これはスライサーソードですね。アンジェリカさんが言ったように、過剰に魔力付与が込められており、逆に切れ味が少々劣りますかね、とはいえ、通常のロングソードなんかよりよほど切れ味、耐久性は抜群ですね。この怪しいやつは、ふむ、グラムとは違って切れ味、耐久性ともによろしくないものですね。」


「なるほど。で、気になりますのは、この刃物ですが、これは?」


「これは、手裏剣という武器ですが、残念ながら使いこなせるのはメンバーにおりませんね。」


「そう、ですか、、、。非常に興味があったのですが、残念です。」


「ただ、この武器、他の使い途があるんですよ。」


「他の使い途? 一体どんな使い途が?」


「これ、装飾具的な感じで身につけておりますと、毒やアンデッドの特殊攻撃防ぎますね。ということで、これは、王国で主要な存在であるアンジェリカさんか、斥候職であるカムイちゃんかセイラさんが持っておくのがいいかもしれませんね。」


「そんな効果が? そうしますと、これは、セイラかカムイちゃんが持っておくべきですわね。ワタクシにはオニキスという頼りになる護衛もおりますし、フフッ。」


 アンジェリカさんの言葉にオニキスが喜んでその場で跳びはねていた。オニキスもなかなか可愛らしい。まあ、元がライムだから、可愛いのは当たり前か。


「だったら、カムイちゃんが持っておきなよ。私はこういった冒険のときでないと斥候の仕事ってあまりしないけど、カムイちゃんは普段から斥候の役割があるからね。毒を防ぐってかなりデカいよね。」


「お二方がそう言うなら、私がもらっておくね。ありがとう。」


「初っぱなから、なかなかいいアイテムが手に入りましたねぇ。で、どうしますか? ここを周回してアイテムと戦闘経験を積むもよし、ここのボスを倒すのもよし、アンジェリカさん達に任せますよ。」


「ワタクシとしては、今日はそれほど時間が残っておりませんので、さっさとボスを倒して、今日の所は戻ろうかと思うのですが。」


「王女殿下がそうおっしゃるのなら、私はそれに従います。」


「・・・異論なし。」


「私もそれでいいと思う。」


「了解。では、そうしましょうか。とはいえ、ボスへ行くまで何戦かありますので。」


「もちろん、やりますわよ!!」


 ということで、ボスのヴァンパイア達を倒しに行きますかね。しかし、あのボスを見て、アンジェリカさん達ドン引きしないかな、、、。まあ、実際に会えばわかるか。


 最初の魔物を倒して、次の場所へと向かうと、やはりメッセージとそれに合わせて声がした。よかった、今回も殿○だった。毎回変わったら、それはそれで鬱陶しい。


 そんなこんなでボス部屋まで到着。途中の魔物達はアッサリ倒して終了。お宝についても、先程よりは幾分かマシな武器防具が出てきたけど、今装備しているものには数段劣るため、そのまま宝箱に戻してその場を去るだけだった。ってか、装飾具がほとんど出てこないんだけど、これって物欲センサー働き過ぎじゃない?


 あ、そうだ、ボス部屋だから、一応相手の情報を伝えておかないとね。


「カムイちゃんは知っていると思うけど、戦姫の3人は初だからね。一応説明しておきますと、ここのボスはヴァンパイアの上位種です。」


「ヴァンパイアの上位種ですの? 相手にとって不足はありませんわ! ・・・って、アイスさん、その割には何やら話しづらそうな感じなのですが、どうなさいましたの? って、カムイちゃんも?」


「わかりますか、、、。ヴァンパイアの上位種ですけど、何と言ったらいいか、、、。とりあえず、見ても驚かないでくださいね。」


「??? わかりましたわ。」


 アレは口で説明するよりも、実際に見てもらった方が早いかな。ということで、ボス前の部屋に到着。ドアの前にはメッセージが書かれていたけど、流石にここでは朗読はなかった。まあ、この扉の文字って、こっちの言葉の文字だからね、ゆっくり、あるいは○下の朗読つきのメッセージって、日本語で書かれてたし。さてと、覚悟を決めて突入しますかね、、、。


-------------------------

アンジェリカ「ここ地下3階って、何か変ですわね。」

セイラ「ですね、特にアイテムが。」

ルカ「罠も何かおかしい、、、。」

セイラ「でも、それ以上にアイスさんに案内されてることが一番おかしく感じます、、、。」

アンジェリカ達「それだ!!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る