第155話 さてと、ダンジョンの地図作りますよ? その2



リアルの都合+ネタも思い浮かばず、更新が遅れて申し訳ありませんでした。


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前回のあらすじ:地図を作ろうとしたけど、採掘がはかどらず半分で戻ってきた。




 次の日以降、洞穴族から購入(無理矢理お金を押しつけた、ともいう)した採掘道具を駆使して探索を行っていた。地下1階と2階の魔物では、私や戦姫達では役不足であったので、いい機会とばかりにオニキスの戦闘訓練ということで、オニキスメインで戦っていた。



 とはいえ、いきなりメインで戦う、というより、護衛はするものの、攻撃はほどんどしてこなかったオニキスなので、最初の方はライムが見本を見せるような形で魔物を倒していた。もちろん、オニキスは光魔法のスキルはないので、スライム特有の窒息攻撃や体当たりによる攻撃で魔物を倒していた。まあ、ライムもそれほど攻撃には参加したことはないので、心配だったけど、全くの杞憂に終わった。



 というのも、ライムにはマーブルとジェミニという恐らく最強クラスの師匠がいるわけで、その戦い方を幾度となく直に見て、ライムなりに自分ならこう戦うということを考えていたようで、今回は手本という名の戦闘メインだったので、思う存分戦いを楽しんでいたようだ。



 ある程度手本を見せた後、オニキスもライムの動きを参考にしながら、しっかりと戦闘要員として頑張っていた。



 ということで、地下2階までの魔物は問題なく狩れるようになっており、地下3階への階段へとたどり着いたときには、周りのメンバーから祝福を受けており、オニキスもライムほどではないにしろ、その場で高速跳躍を繰り出していた。



 地下1階と2階のメインである採掘だけど、これが予想以上の結果だった。最初に用意した採掘道具は何だったのだろうと思うほどの量となってしまったのである。



 ちなみに、これを冒険者ギルドに持ち帰ったときは、ギルド職員のみならず、たまたまギルドに来ていた洞穴族の者も唖然としていた。そこにいた洞穴族の人が、ガンドさん達を大慌てで呼びにいく始末だった。



「ご領主、あんた、とんでもねぇな、、、。」



「ん? 何で? 売ってもらった道具を使って普通に採掘しただけなんだけど。」



「いや、いくらこの道具を使っても、そんなに採れやしないって、、、。一体どうすりゃ、そんなに採れるんだっつうの、、、。」



「どうすりゃ、って、この人数で採掘できる場所があったら、片っ端から採掘しただけなんだけどね。」



「何? 片っ端から? ってことは、地下2階までくまなく調べたってことか!?」



「そうだけど。」



 採掘がメインみたいな感じになったけど、あくまで依頼のメインは地下1階と2階の地図作成である。ただ単に依頼をこなしてきただけだから、そこまで驚かれても困るのだが、、、。



「ああ、そうか、ご領主は空間収納持ちだったっけ。にしても、この量は異常だぞ。しかも、貴重な宝石とかあるみてぇだし。」



「それこそ、この道具のおかげだね。」



「いや、それだけじゃねぇんだけど、まあ、そういうことにしておくか。どちらにせよ、これだけの量を用意してくれたのは助かった。これだけあれば、思う存分指導にも使えるからな。」



「そうか、じゃあ、明日から探索メインでも大丈夫かな? 一応、手に入るなら手に入れてくるけど。」



「ああ、これだけあれば十分過ぎるくらいだ。でも、少しでいいから、これからも鉱石が手に入ったら、ギルドに卸してもらえるとありがたい。」



「自分に直接卸せって言わないところが、洞穴族らしいね。」



「ここのみんなには良くしてもらってるんだ。それに、お金が回った方が町のためになるって言ったのはご領主、あんただぜ。」



 そういえばそうか、と私は苦笑いしながら頷いた。卸された量には驚いていたギルドも、予想以上の利益が出そうだと、ギルド長から感謝された。



 手に入れた鉱石だけでなく、倒した魔物からの戦利品を精算して、私達と戦姫、カムイちゃんにそれぞれ配分した後、いつも通り領主館へと戻り、夕食などのいつもの作業を終えて次の日を迎えた。



 今日から地下3階、つまり、某RPGさながらの地下迷宮を探索する。ちなみに、地下3階の地図については、既に冒険者ギルドへと提出してある。ただ、地下4階以降は、いくら領民達といえども一筋縄ではいかない魔物が目白押しであり、そもそも、門番的存在であるゴーレムに対しても厳しい感じがするので、まだ公開どころかギルドへも提出していない。冒険者達ですら、地下2階までしか潜れないそうなので、必要性が全くなさそうだ。まあ、名目的に地下3階までのダンジョンとしている、というのも大きい。



 領民達であるが、たまに鍛錬目的で地下3階までは来ているそうだ。とはいえ、来ている、いや、来られる領民も限られているようだ。ちなみに来ているのは、エーリッヒさん、エルヴィンさん、ハインツさんのゴブリン族の隊長や、ウルヴ、アイン、ラヒラスも来たことがあるそうだ。ただ、ウルヴはアウグストなどに騎乗しているとき限定だそうで、騎乗していないと地下2階へもたどり着けないとのこと。



 また、彼らが一緒にいる場合に限り、他の領民達も一緒に地下3階まで潜っているそうだけど、流石にまだ厳しいから頻繁には行けないようだ。その他には、レオ達野ウサギ族が一緒に来ている前提だけど、他のウサギ達やコカトリス達もたまに来ているようだ。コカトリス達は、単独でも地下3階まで平気なようだけど、みんなと一緒がいいとのことで、単独では来ることがないそうだ。そういった意味では非常に可愛らしいなと思ってしまった。



 いつものテシポンで起こしてもらい(今日のコカトリスは罠に阻まれて参加できなかったようだ)、悔しがっているコカトリスに卵をもらってから、モフって送り出し、朝食を食べて支度をしてから、マーブル達のモフポヨを堪能しつつ、メンバーの集合を待っていたのだけど、いつも以上に早く来たので少し驚いた。



「アイスさん、ご機嫌よう。今日から本格的な探索が始まりますのね。」



「アンジェリカさん、セイラさん、ルカさん、カムイちゃん、おはようございます。本格的な探索って、初日から本格的な探索だったんですけどね。」



「いえっ、昨日までは、本格的ではありませんわよ。ワタクシ達は魔物を倒すのがメインであり、探索は不得手ですので。」



「いやいや、それも冒険者活動としては本格的な活動なんですよ。まあ、戦姫としては、採掘などは活動のうちに入らないかもしれませんけどね。」



 そんな話をしながら、準備ができたかを確認して、マーブルの転送魔法でダンジョン入り口まで到着。ダンジョンに入ってから、再びマーブルの転送魔法で転送、ではなく、ダンジョンに入ってしまえば、各階層の下り階段まで到達できれば、そこへと転送できるので、それで転送した。地下2階の下り階段に到着したので、念のために注意事項を説明しておいた。



「さて、これより地下3階へと向かいますが、カムイちゃんはわかっていると思うし、戦姫に関して言えば、油断とかもないと思いますが、一応念のため。地下3階以降の魔物は、見た目は弱そうでも、かなり強めの魔物で、相手を甘く見るのは厳禁です。また、私達以外の人型は基本このダンジョン特有の魔物なので遠慮なく倒してください、というか、倒さないとこちらがやられるので。」



「アイスさん、ワタクシ達の他に地下3階へと行く冒険者っておりませんの?」



「うーん、行く、というより、行けない、と言う方が正しいかな。一応、地下3階の地図は提出してあるけど、また地下2階で精一杯のようですね。一部の領民はたまに来ているようですが、彼らは見ればわかりますからね。」



「領民の方ですか、、、。エーリッヒさんとかゴブリン族の部隊長クラスか、あとはアインさん、ラヒラスさんも来られそうですわね。確かに、我が領に来ている冒険者達ですと厳しそうですわね。そういえば、救済の風ですら、地下2階の魔物に手こずっているようですので。一応彼らもタンヌ王国、いえ、ギルド協会のSランクなんですが。」



「まあ、フロストの町基準は他とは違うので、そこら辺は放っておいても構わないでしょう。」



「そうですわね。それよりも、アイスさん、案内よろしくお願いしますわ。」



「お任せ下さい。」



 私が普通に返事をすると、セイラさんが不思議そうに聞いて来た。



「? アイスさんが案内? カムイちゃんとか、マーブルちゃんとかじゃなくて? だって、アイスさん極度の方向音痴だよね? 案内大丈夫なの?」



 セイラさんの疑問、確かにもっともである。普段の私を知っている彼女としては、私が案内をするというのはあり得ない。しかし、カムイちゃんがフォロー? を入れる。



「セイラさん、大丈夫だよ。ここの地下3階に関して言えば、アイスさんは全く問題なく案内できるから。ワタシも、前回一緒に潜ったときは、完全にアイスさんの案内だったし。」



 カムイちゃんの発言に対し、マーブル達もその通り、と言わんばかりに頷いたりしていたので、一応納得はしてくれたようだ。



「あ、それと、セイラさん。ここの迷宮って、宝箱の罠が特殊ですから、罠外しに関しては、カムイちゃんに教わりながら数をこなして下さい。」



 カムイちゃんは、それを思い出したのか、苦笑いしながらセイラさんに話した。



「ああ、忘れてた。セイラさん、ここの迷宮の罠って、変なものが多いし、構造が独特なんだよね。しかも、耐性持ちでも平気で喰らうから、ある意味かなりえげつないから、大変なんだよね。覚えてしまえばラクなんだけど、それまでが大変だから。」



「うわぁ、、、。」



 セイラさんも面倒そうな顔をしていたが、私達では解除スキルを習得しようにもできないのだ。何でか知らないけど。他の人は、新たにスキルを取得できるのだけど、私が新たに取得できたのは、解体スキルと料理スキルの2種類だけだ。・・・はっ! 魔力? 魔力なのか!?



「アイスさんが何を考えていたのかはわかった。一応覚えようとはしていたんだね、、、。はぁ、そうだよね、私が覚えるのが妥当なんだよね。本当なら、カムイちゃんには専属になってもらうのが一番なんだろうけど、カムイちゃんは、カムイちゃんでいろいろと任務もあるからね、、、。」



「セイラさんゴメンね。本音で言うと、みんなの専属になりたいんだけど、ゴブリン族としての仕事もあるからね。まあ、それ以外にも、地下4階以降だと、ワタシには手に負えない魔物達ばかりなの、、、。」



「なるほど、そういうこともあるのか。ということは、アイスさん、地下4階より下の宝箱って手に入れたことないの?」



「ないですね。手に入れたのは、魔石と、魔石を落とさずにそのまま死体として残った魔物の素材くらいですかね。あ、あとは、地下6階には、わずかですが、ミスリルの採掘ポイントがあったので、そこで手に入れた少量のミスリルかな。」



「なるほどね。アイスさんがミスリルをケチったのじゃなくて、本当に量が少なかったからなんだね。」



「まあ、武器としてはあまり広めて欲しくない、というのはあるから、ひょっとしたらケチるかもしれないけど、今回はマーブル達用の櫛の分以外は全部渡して、あの量だったんだよね。しかも、あの櫛でブラッシングすると、私もマーブルもジェミニもやばいから、結局使わなくなったけど、、、。」



「あのキラキラしたクシだめー!!」



 慌てて私達を我に返してくれたライムが、あの情景を思い出したのか、強く反対してくれていた。



「ライムちゃんがいきなり!? そ、そんなにヤバい代物だったのですか!?」



「ブラッシングする方もされる方も、余りの気持ちよさに違う世界へと旅立ってしまう勢いでしたね。それをライムがこちらの世界に引き戻してくれたんですよ。それ以来、ミスリル製の櫛の使用を禁止しまして、今は魔樹の櫛を愛用している次第です。」



「な、なるほど、、、。」



「横道には逸れましたけど、そういうことですので、みなさん、よろしくお願いします。」



 そんなこんなで、再び地下3階という名の、某3DRPGダンジョンの探索が始まろうとしていた。


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領民A「そういえば、ご領主から頼まれてたミスリルの櫛、どうなった?」


職人A「ああ、あれか、、、。」


領民A「? 何かあったのか?」


職人B「あれはな、製造中止となった。あれを見てくれればわかる、、、。」


領民A「・・・なるほどな。で、マーブルちゃん達もああなった、と。」


職人A「そういうことだ。」



そこには、恍惚の表情で仰向けになっているコカトリス達が転がっていた、、、。

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