第59話 さてと、今日は地下4階です。



 テシ、テシ、ポン、はい、ちょっと省略です。それでも気分よく起きることが出来たのは間違いないです。さて、今日はどうしようかと考えながら朝食の準備だ。朝食はいつものやつだ。最近では朝食はマーブル達と一緒に4人? だけでしか食べていない。ウルヴ達は今は領主館の近くに住んでおり、各々好きに食べているそうだ。



 朝食が終わってから、マーブル達とモフモフを楽しみながらくつろいでいると、女性陣4人が早速来た。



「アイスさん、ご機嫌よう。マーブルちゃん、ジェミニちゃん、ライムちゃんもご機嫌よう。」



「ああ、アンジェリカさん、セイラさん、ルカさん、カムイちゃんお早う。」



 それぞれ挨拶を交わしていく。



「ところでアイスさん、今日はどうなさいますの?」



「うーん、正直迷っている所なんですよね。昨日手に入れた腸を使って作りたいものありますし、ハニービー達がくれた蜂蜜も使って作りたいものもありますしね。もちろん、ダンジョンの攻略を進めていきたいとも思っていますしね。」



「どちらにせよ、お付き合い致しますわ。アイスさん達とダンジョン攻略を進めていくのも楽しいですし、アイスさんが何かまた新しいものを作るのを見たりするのも楽しいですしね。」



「はい、非常に楽しみですよね。」



「私はどっちでもいい、、、。」



「私も同意見!」



 正直どちらにしようか本当に迷ったが、結局ダンジョンの攻略を進めることにした。ひょっとしたら、新たな素材が手に入るかも知れず、そうすれば、さらに選択肢が増えることだしね。と言うわけで決定。とりあえず今日の当番であったカムドさんに今日の予定を伝えて、そのついでに造成班とラヒラスにそれぞれ作成依頼したいものを記入して渡しておくように頼んでから出発した。



 ちなみに、作成依頼の内容だが、造成班には液体を入れる壺を出来る範囲でたくさんと、いくつかの道具を、ラヒラスについてはとある魔導具だ。とりあえず思いついたやつを頼んだので実際に役に立つかは今後次第かな。



 ダンジョンに入り、地下1階と2階を通過して、その後で一気に転送魔法で3階の階段へと移動する。このダンジョンについては、地下1階と2階はスルーできない。ちなみに2階で出迎えてくれたハニービーに欲しいときに譲ってくれればいいということをしっかりと伝えておいた。



 地下3階の下り階段を降りて、地下4階へと移動する。見た感じ地下3階と同じような感じではあったが、少しだけ違った部分があった。それは小麦や大麦の畑があったということだ。ということは、稲もあるのかと期待していたが、残念ながら稲に関しては水稲どころか陸稲すら見つからなかった(泣)。あ、読み方だけど、水稲は「すいとう」で、陸稲は「おかぼ」と読むらしいです。



 小麦や大麦があるということは、それをついばみに鳥、いや鶏がいるということだな、そんなことを考えていたら、やはりいましたよ、鶏が。ええ、昨日に続いて今日もデカいです。言うまでもなく集団でいらっしゃいますよ。皆さんも嬉しそうで何よりですが、それはさておき、まずは鑑定からでしょう。では、アマさんいつもどおりよろしく。



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『グレイトコッコ』・・・ダンジョン限定であるグレイトシリーズの鶏バージョンじゃ。倒すと肉しか落とさんが、肉質は保証するぞい。ちなみにこやつらの羽は珍重されておるが、倒しても手に入らんぞい。お主の工夫次第じゃな。気が向いたらでかまわんから、供えてくれるとワシも嬉しい。


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 ありゃ、トリさんはこれ一種類か。まあ、詳しい種類なんてわからないからいいか、美味しければ。羽はどうしようかな、、、。今回はいいとしますか。それはさておき、まずは目の前のお肉を頂かないとね。



 グレイト種の例外なく、一定の範囲に入り込むと、やはり襲ってきましたよ。しかも、昨日倒した山羊やら羊やら牛やらより速い速度で突っ込んできましたよ。昨日の集団をかろうじて倒せる程度の腕しかなければ、恐らくやられていたでしょうね。でも、このメンバーは普通じゃないので問題なかったよ。むしろ、私の出番が全く無かったのは正直困った。皆さん嬉々として倒してましたよ、ええ、ライムやオニキスまで一緒になって倒しておりましたよ。ライムとオニキスについては、防御面は全く心配してなかったけど、攻撃もあのレベルを倒せるようになっていたのは正直驚いた。



 倒したそばから、どんどん肉に変わっていくコッコ達。しかしその肉がデカいことデカいこと、1体ずつ見ても昨日の牛よりも大きいくらいだった。



 グレイトコッコ達を倒しつつ進むと、今度は豚の集団だった。さてと、鑑定鑑定。



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『グレイトイベリコ』・・・ブタじゃ。これ以上の説明は省くぞい。


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 これだけ種類が出てくると、流石に鑑定もここまでいい加減になってしまうのか、、、。あれ? イベリコの他にも別の種類があるな。これらも鑑定してみますかね。



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『グレイトアグー』・・・説明しんどいの。


『グレイトサツマ』・・・同上じゃ。


『バトルサツマ』・・・色が黒いだけであとは同じじゃ。あ、説明し忘れておったが、こやつらは倒すと肉と腸を落とすが、イベリコの腸は薄めで、アグーとサツマ各種は厚めじゃな。どうするかはお主の好きにすればいいぞい。


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 ほう、ブタの腸でもイベリコの方は薄めなのか。以前いた世界では実際にどうなっているかわからないけど、これでブタの腸でもアレが作れるな。他の種類のブタさんの腸はモツ決定だね。うん、非常に楽しみだよ。でも、味噌が欲しいと強く思うよ。しかし、それにしても『グレイトサツマ』もそうだけど、この『バトルサツマ』って名前からしてヤバそうな雰囲気なんだけど、、、。もしかしてこいつだけSSクラスとかあり得そうで怖いんだけど、、、。



 実際に戦ってみると、そうでもなかったので安心だ。こうして、大量の鶏肉と豚肉と腸とモツが手に入って非常にいい気分だった。昼食には丁度いい時間だったし、折角だから手に入れたてのお肉を使って昼食を摂ることになった。メニューはもちろん、豚肉と鶏肉のステーキである。一応スガーは準備できているので塩コショウについては心配なし。鶏肉については皮は油を取りたいので、皮についてはこちらで回収させてもらうことになった。



 こうして小規模ではあるが肉祭りを楽しんでいると、こちらに向かってくる集団の気配を探知した。マーブルといえば通常通りだったので、敵意がないか大した相手ではないのでそのまま肉祭りをつづけていたが、やがてその集団がすがたを現したのでここはやはり鑑定だろう。ということで、アマさんよろ。



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『ピュア・コカトリス』・・・ほう、珍しいのう。コカトリスでしかもピュア種じゃ。普段生息しているコカトリスは凶暴じゃが、こやつらは基本温厚での、むやみに攻撃とかしなければ友好的じゃぞ。ちなみにこやつらは卵を産むが、味はかなりのものじゃぞ。しかも、こやつらはダンジョン産ではなく野生種じゃな。一体どうやってここに来たのかはわからぬが、地上に連れ帰っても問題無さそうじゃぞ。あ、それと、お主達美味そうなものを食べておるのう。できれば相伴に預かりたいところじゃが、今はガマンしておくかの。・・・くやしいのう、、、。


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 まじか、、、。って、よく見たら女性陣少しびっくりしているな。ここに来たのは恐らくこの食べ物の臭いに釣られたのはほぼ間違いないな。こちら、というより、肉を見てるしねぇ。折角だからお裾分けしますかね。



「食べたいのか? なら、こっちにおいで。」



 そう声をかけると、先頭にいたコカトリスが嬉しそうにこちらに近づいてきたので、マーブルに風魔法で肉を切ってもらって、その1つを分け与える。コカトリス達は最初はマーブルが放った風魔法に警戒をしていたが、攻撃を加えるために放ったものではないことを理解すると、躊躇うことなく肉をついばむ。



「コケーーーーッ!」



 いきなり大きな声を出したのでビックリしたが、それにしてもニワトリかい! よく見ると、ニワトリが巨大化した感じだな。その後、他のコカトリス達も肉を寄越せと言わんばかりにこちらに寄ってきた。流石に収拾がつかなくなりそうだったので、



「順番にならんでくれよ、じゃないとあげられないぞ。」



 と言うと、コカトリス達は行儀よく並びだした。ちなみにコカトリス達は全部で15匹いた。ある程度お腹もふくれてきていたので、この後はコカトリス達にあげようと、追加の肉を用意して焼き始めた。コカトリス達はまだかまだかと言わんばかりに弱くではあるが、こちらをつついて催促してくる。焼けるまでは少し時間がかかるから、その辺はガマンしてもらうしかない。



 焼き上がった肉を別の皿に移して、その移した肉をマーブルが風魔法でキレイに切り分けている。自分たちが攻撃されないとわかっていたのか、焼けた肉をキレイに切り分けるマーブルの風魔法ににコカトリス達も喜んでいた。そして、焼き上がった肉を堪能して満足そうにしていた。



 昼食が終わって、少し休憩してから出発すると、何故かコカトリス達も後をついてきていた。ジェミニとライムはコカトリスと会話できるらしく、彼ら曰く一緒に行きたいとのことだったので、断る理由もなかったので一緒にいくことにした。



 道中で、グレイトコッコやその他グレイト種のブタたちが幾度となく襲ってきたが、パーティメンバーはもちろんのこと、一緒に来ていたコカトリス達も参戦して倒していた。そのため、私の出番は今回も全く無かった、というより、更に出番が減ったという方が正しかった。



 地下5階への階段が見つかったので、ここに転送ポイントを作ってフロストの町に戻ろうとしたら、コカトリス達も一緒に来たいと言われたので、連れて行くことにした。



 コカトリス達と一緒にアマデウス教会へと戻って、パーティを解散して、とりあえずウサギ広場へと行くと、ウサギ達と遊んでいた我が領のアイドル、クレオ君とパトラちゃんが嬉しそうにこちらに走ってきた。そして一緒にいるコカトリス達を見ると、躊躇うことなくコカトリス達に飛び込む。



「「コッコしゃーん!!」」



「「「「コケーーーーッ!!」」」」



 コカトリス達はしっかりと2人を受け止める。ぶっちゃけ、領民に受け入れられるかどうかはこの2人に気に入られれば一発だ。今回もこれによって領民に受け入れられることになった。最初は躊躇いがちだったウサギ達も次第に仲良くなってくれたのでホッとした。コカトリスではあるが、よく見るとこの子達はニワトリをデフォルメした感じの可愛い外見だったので、騒ぎに駆けつけた領民達の一部でも非常に気に入られたようで、仕事が終わった建築班が急遽コカトリスの小屋を作り始めてしまった。



 そんな感じで急遽コカトリス達の歓迎会になってしまったので、今日手に入れた豚肉と鶏肉、さらにはモツも惜しげも無く放出して宴会に華を添えることにした。実は領民よりも冒険者が一番驚いていた、そりゃ、そうだろう。コカトリスといえば、弱くてもBクラス、通常はAクラスの魔物だからね。それでも、流石はフロスト領所属の冒険者達だ。すぐに慣れた。まあ、そうだろうな。ここにはSクラスの魔物である野ウサギ族がペットとして既に領内に住んでいるのだから。領民達に歓迎され、肉などの食べ物もたくさん食べたコカトリス達は非常に嬉しそうにしていた。



 宴会が終わって片付けが終了したので、領主館へと戻り、今日行っていなかった領主採決を行ってから、今日はねぐらへと転送して、スガープラントをいくつか採集した後、ここで風呂と洗濯を済ませてから領主館へと戻り、マーブル達とのモフモフタイムを堪能してから床に就いた。

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